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2018 年度 実施状況報告書

白血病細胞の骨髄ニッチ・クロストークによる抗がん剤耐性解明と治療反応評価法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K07425
研究機関東海大学

研究代表者

宮地 勇人  東海大学, 医学部, 教授 (20174196)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード白血病 / 抗がん剤耐性 / 遺伝子 / 骨髄微小環境
研究実績の概要

急性白血病の治療において、抗がん剤に対する治療抵抗性(または耐性)は患者診療上の重要な課題である。抗がん剤治療後に骨髄に残存した白血病細胞(微小残存病変)は、骨髄(腔内)微小環境(nicheニッチ)内に潜伏し、その再増殖が再発、治療抵抗性の原因となる。本研究では、白血病の治療予後の改善のため、治療後骨髄ニッチ内に残存し再発、予後不良の原因となる抗がん剤耐性の分子機構を明らかにし、それに基づく耐性の評価システムさらには克服法の開発を目指すことを目的とした。
骨髄微小環境の要素として細胞外マトリックスには、白血病細胞表面の接着受容体と相互反応するフィブロネクチン、コラーゲンIVを用いた。細胞と細胞外環境の相互反応を阻害するモノクローナル抗体を用いて、抗がん剤への耐性度変化を調べた。抗がん剤感受性試験には、細胞死の評価にMTT試験を用いた。白血病細胞と骨髄間質細胞との相互関係を知るため、急性骨髄性白血病において治療抵抗性のバイオマーカーとして知られるFLT3とKIT変異を有する株化培養白血病細胞を作製し、これらの細胞において骨髄間質細胞から分泌液性因子G-CSFによる抗がん剤耐性への影響を調べた。G-CSFの存在下において、FLT3陽性白血病細胞はara-Cに対して治療抵抗性をもたらすことが示された。G-CSFはKIT変異の中でKITN822Kを有するKasumi-1細胞において、治療抵抗性をもたらすことが明らかとなった。
骨髄ニッチ内で白血病細胞が特定の治療薬に特異的な治療抵抗性を獲得する機序について、骨髄微小環境(ニッチ)における細胞外因子として、細胞外マトリクスや骨髄間質細胞さらにはそこから分泌される液性因子に保護され生存に有利になると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

急性白血病の治療において、抗がん剤に対する治療抵抗性(または耐性)は患者診療上の重要な課題である。抗がん剤治療後に骨髄に残存した白血病細胞(微小残存病変)は、骨髄(腔内)微小環境(nicheニッチ)内に潜伏し、その再増殖が再発、治療抵抗性の原因となる。本研究では、白血病の治療予後の改善のため、治療後骨髄ニッチ内に残存し再発、予後不良の原因となる抗がん剤耐性の分子機構を明らかにし、それに基づく耐性の評価システムさらには克服法の開発を目指すことを目的とした。
急性骨髄性白血病細胞と骨髄間質細胞との相互関係を知るため、急性骨髄性白血病において治療抵抗性のバイオマーカーとして知られるFLT3とKIT変異を有する株化培養白血病細胞を作製し、これらの細胞において骨髄間質細胞から分泌液性因子G-CSFによる抗がん剤耐性への影響を調べた。G-CSFの存在下において、FLT3陽性細胞はara-Cに対して治療抵抗性をもたらすことが示された。G-CSFはKIT変異の中でKITN822Kを有するKasumi-1細胞において、治療抵抗性をもたらすことが明らかとなった。さらに、FLT3陽性細胞における細胞外マトリックスの構成要素であるフィブロネクチンまたはコラーゲンIVとの接触において、ara-C耐性が見られ、その機序を知るため、遺伝子プロファイリングと細胞内シグナル伝達の活性化状態を調べている。
以上、研究の進捗状況はおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

本研究では、白血病の治療予後の改善のため、治療後骨髄中に残存し再発、予後不良の原因となる抗がん剤耐性の分子機構を明らかにし、それに基づく耐性の評価システムさらには克服法の開発を目指す。細胞と細胞外環境の相互反応を阻害するモノクローナル抗体や競合ペプチドを用いて、抗がん剤への耐性度変化を調べる。
抗がん剤耐性の分子機構において、白血病細胞と骨髄間質細胞との相互関係に関与する遺伝子発現は、細胞外マトリックスへの曝露の有無の影響を調べる。
白血病細胞と骨髄間質細胞との相互関係に関与する遺伝子発現プロファイリングおよび細胞内シグナル活性化状態を調べる。
抗がん剤耐性に寄与が明らかとなった遺伝子を検出対象として、白血病治療反応性評価のための検出パネルを作成する。

次年度使用額が生じた理由

目下、株化培養白血病細胞における遺伝子発現プロファイリングおよび細胞シグナル活性化状態を調べている。遺伝子発現のおよその傾向を把握できたが、再現性を確認するための検討に用いる試薬類の購入は、その使用期限を考慮して、次年度に購入することが望ましいと判断した。このため、次年度使用額が発生した。
使用額の使用は、計画通り、遺伝子発現の再現性を確認するための検討に必要な試薬類の購入に用いる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] A simple screening method for the diagnosis of chronic myeloid leukemia using the parameters of a complete blood count and differentials.2019

    • 著者名/発表者名
      Ogasawara A, Matsushita H, Tanaka Y, Shirasugi Y, Ando K, Asai S, Miyachi H.
    • 雑誌名

      Clin Chim Acta.

      巻: 489 ページ: 249-253

    • DOI

      10.1016/j.cca.2018.08.038.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Long-term Remission of Acute Myeloid Leukemia Developed From Systemic Mastocytosis by Conventional Chemotherapy.2018

    • 著者名/発表者名
      2.Yamada A, Kinoshita M, Sawa D, Saito Y, Kamimura S, Miyachi H, Moritake H.
    • 雑誌名

      J Pediatr Hematol Oncol.

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1097/MPH.0000000000001259.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Evaluation of high-dose cytarabine in induction therapy for children with de novo acute myeloid leukemia: a study protocol of the Japan Children's Cancer Group Multi-Center Seamless Phase II-III Randomized Trial2018

    • 著者名/発表者名
      3.Tomizawa D, Tanaka S, Hasegawa D, Iwamoto S, Hiramatsu H, Kiyokawa N, Miyachi H, Horibe K, Saito AM, Taga T, Adachi S.
    • 雑誌名

      Jpn J Clin Oncol.

      巻: 48 ページ: 587-593

    • DOI

      10.1093/jjco/hyy061.

    • 査読あり

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公開日: 2019-12-27  

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