研究課題/領域番号 |
18K07427
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
吉澤 浩志 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (70318070)
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研究分担者 |
北川 一夫 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70301257)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 認知予備能 / 認知症 / 神経心理検査 / 神経機能画像 |
研究実績の概要 |
軽度認知障害(MCI)および初期Alzheimer病(AD)患者において、MRI.T1.3D撮影による脳局所体積測定、MRI拡散テンソル画像(diffusion tensor image; DTI)による神経白質変性の定量評価、安静時機能的MRI(rsfMRI)によるconnectivity解析、および脳血流測定を行い、神経心理検査の推移と比較検討し、併せて認知予備能の影響につき考察することを目的としている。認知予備能に関しては、金沢大学認知科学研究室が開発した認知予備脳評価CRIq-Jのデータ収集している。対象はCDR≦1のMCIないし軽症AD患者であり、すでに161症例(年齢75.8±8.3歳, MMSE 24.5±3.2)の登録時横断解析は終了し、現在追跡評価を行っている。昨年度の検討で、神経心理検査では、CDR0, 0.5, 1と重症度が上がるにつれ段階的に記憶→注意/処理速度→遂行機能の順に障害が進展していくのに対して、画像解析パラメーターでは、脳局所体積測定による海馬、嗅内野、扁桃体の体積の低下およびDTIによるFA mapでは脳梁膝部および前頭葉皮質下白質のFA値の低下がMCIの段階ですでに完成していた。今回、登録時解析可能なrsfMRIが撮像できた139症例を対象とした。CDR1群54名、 CDR0.5群50名、CDR0群35名の3群ともにDMN内の関心領域間に有意な機能的結合を認めたが、分散分析の結果では群間に明らかな有意差はみられなかった。初期AD患者の機能的結合性は重症度による差は確認できず、神経心理検査で異常を検出される前から画像上の変化はすでに出現していると考えられた。CRIq-Jによる認知予備能評価の結果、認知予備能が高いほど、海馬台体積の低下と言語性記銘力低下に有意な相関はみられなかった(教育;r = 0.318 , p = 0.052; 職業;r = 0.129, p = 461)。従って画像変化に伴う認知機能の低下を呈さないことが示され、認知予備能による認知症進行に対する保護効果を示唆するものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例のentryは順調に進み、当初予定より多数例の症例が組み込まれた。しかし当初の予定では昨年度中に3年後の経時評価を終了し、縦断解析を行う予定であったが、現時点で161例中80例のみが3年後の経時評価を終了している。導入が遅れていた認知予備脳の評価法も令和元年から軌道に乗り、順調に聴取されている。
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今後の研究の推進方策 |
3年後の経時評価は1年半ほど遅延が見込まれるが、今年度もデータ収集を継続し縦断解析を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
3年後の経時評価において、画像検査に関して頭部MRI,脳血流SPECTに加えてPET検査(FDG)を導入していく。
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