研究課題
本研究は、軽度認知障害および初期Alzheimer病(AD)患者において、MRI.T1-3D撮影による脳局所体積測定、拡散テンソル画像(diffusion tensor image; DTI)による神経白質変性の定量評価、安静時機能的MRI(rsfMRI)によるconnectivity解析、および脳血流測定を行い、神経心理検査の推移と比較検討し、併せて認知予備能の影響につき考察することを目的としている。2022年までにすでに161症例(年齢75.8±8.3歳, MMSE 24.5±3.2)の登録時横断解析は終了し、2023年度は3年後の追跡評価を行った。追跡評価の対象は77名であった、神経心理検査と画像との相関解析では、memoryは左海馬・左前頭葉背外側・右島・楔前部の血流低下、両側海馬・両側島・楔前部の萎縮と相関があり、connectivity解析では、左前頭葉と左側頭葉、海馬と扁桃体、島と海馬傍回の間のconnectivityに関与していた。languageは両側前頭葉背外側(左優位)の血流低下、左眼窩回・両側弁蓋部・左側頭葉の萎縮と相関がみられ、左前頭葉言語野と側頭葉、上頭頂小葉と島の間のconnectivityに関与していた。attentionは右島・右視床の血流低下、両側眼窩回・両側海馬・島の萎縮と相関がみられ、背側注意領域と上側頭葉・島の間のconnectivityに関与していた。executive functionは左眼窩回・両側弁蓋部・楔前部の萎縮とわずかな相関が得られたものの、脳血流やconnectivity解析での有意な相関は得られなかった。初期ADにおいて障害される神経心理学的所見により、関与する脳障害部位は異なり、modalityによっても検出領域は異なること、異なった認知機能profileにより、脳内の異なった病態を反映していることが推測された。
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