研究課題
疫学調査として宮城県におけるリンパ腫の登録調査を進め、従来の疫学調査は血液内科を中心としているためにデータ収集が困難とされた消化管原発リンパ腫に着目した(Tohoku J Exp Med. 2018;245:159)。県内血液内科および他診療科と病理部門を対象にして、2006年1月~2010年12月に宮城県内で新規発症したリンパ腫とリンパ球性白血病2098例から消化管原発350例を抽出し、発症頻度は10万人あたり17.8人、亜型頻度ではdiffuse large B-cell lymphoma(DLBCL-NOS)47.4%、MALT lymphoma 32.6%、follicular lymphoma(FL) 8.3%と続き、成熟T細胞性リンパ腫は7.4%に留まった。部位別頻度では、胃原発92%、小腸14%、大腸14%と続き、いずれもDLBCL-NOSが半数以上だが、十二指腸は約7割をFL、多発病変は約5割を成熟T細胞リンパ腫が占める特徴を報告した。B細胞リンパ腫の約半数を占めるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫では、近年R-CHOP療法にて予後が改善する一方、MYC遺伝子転座を有する群では依然として予後不良であり、この群の早期診断および治療開発が求められている。MYC遺伝子転座の有無は、未固定の生検体を用いた遺伝子解析もしくはパラフィン切片を用いたFISH解析で確認するが、検査に数週間要する実情や検体の問題もあり一部の施設に実施が限定されることから、一般的に広く用いられている免疫染色法による評価が求められていた。我々は免疫染色法を用いた客観的な評価基準を新たに作成することで、免疫染色法による評価がMYC転座の有無と相関することを報告した(Hum Pathol. 2019;85:112)。
3: やや遅れている
濾胞性リンパ腫の分子病理学的検討を進めているが、nCounter解析に必要な検体収集および解析に時間を要している。
濾胞性リンパ腫の早期再発群(予後不良群)と低腫瘍量群(予後良好群)の分子病理学的解析を行う。Miyagi studyの治療内容と予後調査から、診断後も治療を年単位で不要とする低腫瘍量群(予後良好群)と初回化学療法後2年以内の再発する早期再発群(予後不良群)症例を抽出し、臨床病理学的検討を行う。病理検体が入手可能な例では、パラフィンブロックからRNAを抽出し、nCounterを用いた発現解析を行う。解析内容に関しては当院倫理委員会で承認が得られている。
濾胞性リンパ腫の分子病理学的検討として、本年度nCounter解析に必要な試薬等の費用を計上していたが、検体収集や解析準備に時間を要してしまい解析自体が次年度に延期したため、解析に関連した試薬費などを次年度に繰り越した次第です。
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