研究課題/領域番号 |
18K07436
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
長谷川 雄一 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00251059)
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研究分担者 |
加藤 貴康 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20646591)
坂本 竜弘 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (60815398)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | HEV / HTLV-I / 細菌感染 / 輸血 |
研究実績の概要 |
輸血用血液製剤には日本赤十字社が献血採血時に検査用血液を同時に採取してHIV, HBV, HCVの核酸増幅検査を個別検体で行っている。最新の2017年報告では、HBV 1件、HEV 4件と最もHEV感染の報告が多い。HEV感染に対しては北海道以外で核酸増幅検査が献血血液に対して行われていないことが原因である。今回の研究課題を応募時にはHEV検査に対する日本赤十字社の方針が不明であったため、簡便で多くの施設で施行できるHEV検査を開発、輸血用血液製剤に応用できるようにしたいと考えていた。しかし、その後2020年の終わりまでにHEV核酸増幅検査を全国に展開することが明らかとなった。そのため、2018年はHEVの一過性感染がどの程度受血者において観られるのかを明らかにし、献血由来の血液による一過性HEV感染の可能性を統計的に処理する際の背景リスクとして活用する必要がある、と考えた。 これまで血液疾患の患者から抗HEV IgA, IgG, IgM抗体検査、HEV RNA検査を行い、IgG単独陽性/ IgM+IgG抗体陽性 / RNA陽性者が2 / 2/ 0見出された。この内、1名のIgM抗体陽性者においては、直近の輸血が無かったことからHEVの輸血による感染を証明するためには、ウイルスゲノムの血液製剤との比較が必要であることが分かった。 一方、HTLV-Iの抗体ウインドウ期感染者が献血ドナーとなった場合の輸血用血液製剤に含まれるウイルスの検出については、ウイルスがCD4リンパ球に感染した状態で感染が成立することから、リンパ球へ感染させた後に血液製剤にスパイクし検出限界を確認する必要がある。感染したリンパ球の定量が間に入るため測定系の確立が遅れている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、HEVの簡便迅速な検体検査法の開発、HTLV-Iの輸血による感染のリスクを顕かにして、その対応を立案することが研究の主目的であったが、日赤の方針転換があり、研究計画を変更する必要が生じた。そのための倫理審査用計画を作製したが、臨床研究倫理審査に想定外の時間が必要になったためである。
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今後の研究の推進方策 |
1)早急に現在のHEV感染調査を全国レベルに拡大する。 2)さらに、現在輸血用血液製剤で最も問題が大きい細菌汚染の輸血前評価を迅速に行う客観的指標の確立を行う。現在エンドトキシン迅速検査と細菌を蛍光染色しサンプルを評価する方法の2つで試行を始めている。 3)HTLV-Iウインドウ期感染者を想定した血液製剤中のHTLV-Iウイルスの定量系について開発を進める。ウイルスの感染したCD4リンパ球が必要なため開発に時間がかかるようであればリンパ球を破壊して総量を測定する方法に変更する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた計画が日本赤十字社の方針に合わせ変更が必要になった。その後新たに提出した臨床研究計画書の倫理審査承認が想定より遅れ研究開始が遅延した。このために予算の執行に遅延が生じてしまった。
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