研究実績の概要 |
①輸血に伴うHEV患者の検出のため、輸血量が多く免疫機能の低下しているグループを対象とすることを考え、造血細胞移植後の患者においてHEV感染症の罹患実態調査をおこなった。筑波大学を基幹施設として慶應義塾大学・都立駒込病院・愛知医科大学・慈恵会医科大学柏病院を初め、茨城県内の病院に協力を得て、325名の患者から379検体を採取し、HEV RNA, 抗HEV IgG,IgA,IgM検体を自治医科大学の協力を得て測定した。その結果、HEVに対するいかなる抗体も検出されずHEV RNAも検出されない、不感染者は、318/325 = 97.85%であった。抗HEV 抗体が検出されたが、HEV RNAが検出されなかった者は、4/325例 = 1.23%で、既感染と判定されたが、内1名は、IgM抗体が検出され、急性感染の経過を観察していると考えられた。HEV RNAが検出された者は、3/325 = 0.92%で急性感染期を確認しているものと考えられた。3名のHEV RNA陽性者の内、1名は血液製剤のドナー検体と患者の検体のHEVgenotypeが一致し、移植直前の輸血による感染と診断された。(1名は、食品感染、1名は感染経路不明。)3名の内、2名は原因が薬剤・移植片対宿主病と当初判断されていた。 造血細胞移植後の肝障害に輸血・食肉を介したHEV感染が含まれることを顕かに出来た。 ②輸血用血液製剤の細菌汚染を迅速に検出するため、細菌を蛍光発色させ検出することを試みた。最も細菌汚染が問題となる血小板濃厚液を用いて検討を行っているが、血小板の粒子サイズと最近のサイズが近く、血小板も蛍光発色してしまうため、血小板と細菌を分離する篩の検討を行った。本検討はその後の検体採取・搬送に関し新型コロナウイルス感染の影響から遂行が困難となった。
|