研究課題/領域番号 |
18K07437
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
平山 暁 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (20323298)
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研究分担者 |
植田 敦志 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00708448)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 補腎剤 / 牛車腎気丸 / 酸化ストレス / 一酸化窒素 / 電子スピン共鳴 / 多種ラジカル消去活性測定(MULTIS) |
研究実績の概要 |
本研究では,代表的な補腎剤である牛車腎気丸を中心に,抗酸化活性の弱い補剤がどのように生体保護効果を示すかについて,1)動物モデルにおけるライブイメージング,2)ヒト血清抗酸化プロファイル変動,により解明することを目指している. 動物モデルにおけるライブイメージングは血流動態の観察評価と一酸化窒素を中心とした活性酸素・活性窒素種の発生の検出を行う.昨年度までに実験観察条件の詳細な設定を終了しており,本年度は牛車腎気丸を用いたライブイメージングを指向した.方法としてはマウス腹側部皮下血管を用い,皮下血管の血流変化をライブイメージング撮影し解析した.これにより,これまで申請者が報告している機序の異なる漢方製剤と比べ,牛車腎気丸の微小循環動態に与える影響が明らかになった. ヒト血清における抗酸化プロファイル変動は漢方製剤による治療を受ける患者を対象としている.すでに当該施設倫理委員会に研究内容を申請し承認を得るとともにUMIN-CTRに登録を行っている.対象製剤は補腎剤である牛車腎気丸・八味地黄丸,及び柴胡加竜骨牡蛎湯・黄連解毒湯としており,これらの同意を得られた方から検体採取を開始し,我々が開発したMULTIS測定による酸化ストレス評価を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒト血清における検討は,当初予定通り令和元年度内に開始したが,COVID-19感染の拡大に伴い対象者の来院が制限されており,現在計画の進行に支障を来している.一方,ヒトでの研究が遂行できない分,動物モデルにおけるライブイメージングを先行させており,当初予定を大幅に早め,本年度前半にライブイメージングでの血流評価およびに,活性酸素および一酸化窒素の発生の検出実験が修了できる見込みである.
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今後の研究の推進方策 |
上述のように,動物モデルにおけるライブイメージングでは,牛車腎気丸における血流動態の観察評価および活性酸素・窒素の発生検出を年度内前半に終了させる. ヒト血清における抗酸化プロファイル変動については,COVID-19感染拡大が制御され,安定した来院状況が可能となり次第引き続き検体採取を進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究ではマウスを用いた補腎剤効果のライブイメージングに関し,H31年度に光学顕微鏡下における「皮下血管血流動態 のライブイメージング」を,翌年度(R2)に「ROS/NO蛍光検出とライブイメージング」を行う予定であったが,当初計画よりも順調に動物実験が 進行していること,および年度をまたぐような時間的乖離を置かず,本年度に引きつづき来年度実験を施行することがより理想的な実験条 件を維持できるとの判断から,「ROS/NO蛍光検出とライブイメージング」の一部をH31年度に繰り上げて施行したため,繰り上げ交付を申請し,了承された.次年度使用額はこれにより生じた残額である.今回の処置により,イメージングの検討は上述の如くすでに当初予定より進行していることから,交付予定額内で研究目的を達成できる見込みである. 当初,上記見込みにて実験計画を作成し,前倒し使用申請を行ったが,その後のCOVID-19感染拡大により,年度内のライブイメージング動物実験に支障を来した.しかし,その後の推移により,R2年度7月中に同実験は終了見込みである.
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