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2020 年度 実績報告書

腸管内胆汁酸を介する漢方薬の新しいメタボリックシンドローム改善作用の実証

研究課題

研究課題/領域番号 18K07441
研究機関富山大学

研究代表者

渡辺 志朗  富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 准教授 (00222406)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード糞便脂質排泄 / 腸管吸収 / デオキシコール酸 / 疎水性
研究実績の概要

本研究計画の最終年度においては、防己黄耆湯がマウスの肝臓内と腸管内の胆汁酸構成ならびに肝臓と糞便中の脂質濃度に及ぼす影響を評価した。基礎飼料ならびにそれに防己黄耆湯の乾燥エキス粉末を2.0%(重量)となるように添加した飼料を、雄性C57BL/6マウスに5週間に渡って自由摂取させた。防己黄耆湯を与えたマウスの飼育の最終日に排泄された糞便中のαムリコール酸の濃度が高くなり、またデオキシコール酸の濃度は低かった。ただし肝臓中の胆汁酸濃度に対しては、防己黄耆湯の影響はみられなかった。糞便中の胆汁酸構成に及ぼす防己黄耆湯の影響から、腸管内の胆汁酸の疎水性の低下が生じていると判断できた。またムリコール酸はFXRのアンタゴニストであり、デオキシコール酸がFXRのアゴニストであることから、防己黄耆湯の投与は腸管のFXR活性の低下を来しているとも推測できた。一方、防己黄耆湯を与えることで、マウスの糞便中のコレステロール濃度が高くなることもわかった。さらに防己黄耆湯は、肝臓中のコレステロールエステルとトリグリセリドの濃度を低下させることも判明した。肝臓中のコレステロール濃度は、防己黄耆湯を与えることで、低下する傾向を示した。上述のような防己黄耆湯による腸管内の胆汁酸の物理化学的ならびに生物学的な活性変動が、糞便へのコレステロール排泄の増加や、肝臓の脂質濃度低下の要因であると推測できた。以上のことから、本研究において防己黄耆湯が腸管内胆汁酸の代謝変動を介した新規の脂質代謝制御効果の機構の存在を示唆した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Boiogito extract alters fecal bile acid profile in mice: Possible roles in changes in fecal and liver lipid levels2020

    • 著者名/発表者名
      Chen Zhuoer、Watanabe Shiro、Nishidono Yuto、Tanaka Ken
    • 雑誌名

      Traditional & Kampo Medicine

      巻: 7 ページ: 138~145

    • DOI

      10.1002/tkm2.1254

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Bofutsushosan improves gut barrier function with a bloom of Akkermansia muciniphila and improves glucose metabolism in mice with diet-induced obesity2020

    • 著者名/発表者名
      Fujisaka Shiho、Usui Isao、Nawaz Allah、Igarashi Yoshiko、Okabe Keisuke、Furusawa Yukihiro、Watanabe Shiro、Yamamoto Seiji、Sasahara Masakiyo、Watanabe Yoshiyuki、Nagai Yoshinori、Yagi Kunimasa、Nakagawa Takashi、Tobe Kazuyuki
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 10 ページ: 5544

    • DOI

      10.1038/s41598-020-62506-w

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 胆汁酸による脂肪合成系の制御2020

    • 著者名/発表者名
      渡辺 志朗
    • 雑誌名

      生化学

      巻: 92 ページ: 680~687

    • DOI

      10.14952/SEIKAGAKU.2020.920680

  • [学会発表] ヒオデオキシコール酸がマウスにおける糞便中への脂質排泄に及ぼす影響2021

    • 著者名/発表者名
      渡辺 志朗, 陳 卓爾
    • 学会等名
      日本薬学会第141年会
  • [学会発表] 五苓散がマウスの糞便中脂質プロファイルに及ぼす影響2020

    • 著者名/発表者名
      渡辺志朗, 馬 青苗, 陳 卓爾
    • 学会等名
      和漢医薬学会学術集会

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公開日: 2021-12-27  

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