研究課題
リスク/ベネフィット・バランスが一般に小さい高齢者がん治療では、生活の質(Qualityof Life, QOL)を重視する傾向にある。本研究では、研究代表者がQOLデータの収集・解析を担当する複数の多施設共同大規模臨床試験のデータを用い、以下の2テーマについて明らかにした。1.QOL指標であるFACT-L Lung Cancer Subscaleについて、全生存期間、無増悪生存期間等の重要な治療アウトカムの予測因子となりうるか否か2.神経毒性のQOL指標であるFACT/GOG-Ntxについて、いわゆる「臨床的に意味のあるQOL変化」に相当するスコア差1については、70歳以上の高齢がん患者を対象として化学療法を行った3つの多施設共同比較試験の合計373例のデータを用い、QOLスコア、PS、年齢、性別、臨床病期、組織型、MMSEを含む高齢者機能評価データを説明変数とし、全生存期間を結果変数とする比例ハザードモデルを用い、治療開始前のQOLは、ハザード比0.68(95%信頼区間0.52-0.89)で、独立した有意な予後因子であることが示された。2については、進行または再発結腸/直腸がん初回化学療法例に対する多施設共同比較試験で収集された400例のデータを用い、線形混合モデルに基づき、医療者が判断するがん治療有害事象評価スケールCommon Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)v4.0のグレードと比較し、臨床的に意味のあるQOL変化は、FACT/GOG-Ntxスコアの約4点の変化であるとの結論が得られた。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Lung Cancer
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