研究課題/領域番号 |
18K07450
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
外園 栄作 九州大学, 医学研究院, 講師 (60404042)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 高感度検出 / 錯体 / 過酸化水素 / 酸化 / 還元 |
研究実績の概要 |
生体成分の定量や酵素活性の測定は,病態を把握する上で臨床診断上不可欠である。生体成分分析領域である臨床化学分析では,迅速に結果を得ることが要求される上,目的成分の含有量も少なく,しかも試料採取量は微量であることが要求される。従って,生体成分の分析法を開発する上で,その方法は簡易・迅速かつ高感度であり,優れた特異性を有することが要求されている。 現在,臨床検査領域における生体試料分析には,数多くの酸化酵素が用いられ,生成した過酸化水素,4-Aminoantipyrine,トリンダー試薬をペルオキシダーゼ(POD)により酸化縮合させ生成物の呈色程度を利用して検出する方法が用いられている。そのため試料中の酸化・還元物質の影響を強く受け,特に尿を試料とする際には測定に大きな影響を受けるなどの問題がある。 本研究では従来の酸化還元反応による検出ではなく,直接,過酸化水素を定量する高感度測定系の構築を目指す。H2O2・金属・キレート錯体形成と界面活性剤による三次元錯体の発色を誘導することで現行のオキシダーゼ/ペルオキシダーゼ発色法よりもさらに高感度で特異性の高い新しい検出系の開発を試みる。そして,現行法とその性能,主にその測定感度や検出特異性を比較評価する事で,今後の臨床応用への可能性を探索・実証する事が本研究の目的である。 臨床検査における酵素測定法の約7割にペルオキシダーゼ検出技術が用いられている事を考慮すると本研究によるこの領域の検出技術革新がもたらすその効果は非常に大きい。また,臨床検査のみならず,本研究の波及領域は、免疫分析領域における標識2次抗体検出の高感度化、また、微量サンプルを用いる実験・研究等への応用が期待される。また、昨今の災害や緊急時における医療現場における感染症などの検査キットの検出への応用も十分に期待されると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高感度検出系の構築:金属・金属キレータ・界面活性剤の検索とそれぞれの組み合わせによる反応性についての検証を行ってきた。その中でいくつかの金属と金属キレータにおいて良好な組み合わせを見出すに至った。現在、これらの組み合わせをもとに現行法との比較を行い、比較的良好な結果は得られているが、まだ到達目標の感度には至っていない。更に条件を詰めての検証が必要である。 還元物質の影響試験:生体試料中における代表的な還元物質(尿酸やアスコルビン酸など)を試料に添加して,本測定への影響について評価した。本測定法において当初予測していたとおり、還元性物質により大きな影響を受けることとなったが、ウリカーゼやアスコルビン酸オキシダーゼの試薬への添加によりこれら還元物質を消去することで、本測定法への影響は回避できることが確認された。しかしながら生体試料中には様々な還元物質が存在すること、それ以外に今後多くの試料を対象とした際に、同様な問題が生じてくると推測される。
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今後の研究の推進方策 |
過酸化水素の安定性の検証:検出対象となる過酸化水素の安定性について、検証を行う。測定対象の過酸化水素がより安定でかつ、本検出反応が有効である環境について検証を行う。そのために、様々な反応外環境をpHの異なる緩衝液を作成し、本反応の有効範囲を検証する。さらに、実際に酸化系酵素を用いて反応溶液中において過酸化水素を生成したのちに、本反応がスムースに進行するか否かについても検証を行い、原稿試薬と比較した際の有用性について検証を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、該当年度内に、酵素を用いて実際に過酸化水素を発生させての実験・検討を行う計画を立てており、その酵素購入の予算を初年度に計上していたが、金属・金属基レーターの組み合わせにおいて、目標の感度を得るに至らず、予定よりも多くの時間を費やした。そのために該当年度内に当初計画をしていたところまでの検討に至らなかった。そのため、物品費が予定よりも大幅に残る形となった。そのため、次年度に酵素類購入物品費を翌年度に持ち越し、初年度の計画を遂行する。
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