研究課題/領域番号 |
18K07451
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
佐藤 明美 佐賀大学, 医学部, 助教 (20568357)
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研究分担者 |
末岡 榮三朗 佐賀大学, 医学部, 教授 (00270603)
中村 秀明 佐賀大学, 医学部, 助教 (10452616)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Liquid biopsy / cfDNA / NGS / 品質管理 |
研究実績の概要 |
昨年までに行ったcfDNAの検体採取・保存の方法については高感度検出系ではあるが、MBP-QP法を用いた結果で判定を行っている。そのためこれらの検体の採取・保存の方法が実際NGSの検体として適しているのかはわからない。そこでこれまで検討した最適な方法で保管した血漿cfDNAを用いて、NGSに耐えうる検体なのかを検討した。 佐賀大学メディカルバイオバンクで血液・呼吸器・腫瘍内科との共同研究により、上記の条件を満たした方法で保存された肺がん患者の血漿29例およびcfDNA 49例を用いてNGS検査を行った。 血漿で保存されている29例については検査直前に磁気ビーズ法でDNA抽出を行った。保存期間は-80℃で1~4.5年であった。これらの検体を用いてNGS検査を行った結果、29例中4例(13.8%)でNGS検査不能であった。DNA総量を確認すると4.1~49.8ngと各検体で幅があった。検査不能であった4例について検討を行うと4例すべてにおいてDNA総量が6ng以下の検体であった。また2例については保存期間が3.5年以上であった。 次にcfDNA 49例については-20℃で1ヶ月~2年の保存期間であった。すべて採血から3日以内に磁気ビーズ法でDNA抽出を行った。49例中、検査不能は2例(4.1%)であった。DNA総量を確認すると3.36~61.6ngと各検体で幅があった。検査不能は2例はDNA総量が5ng以下であった。これらをまとめると、最初に示した結果と同様で保存に関しては血漿で保管するよりもcfDNAで保管したほうがNGS検査においても有用である可能性を認めた。さらにcfDNAの総量においては6ng以上の検体でNGS検査を行う必要性があると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
バイオアナライザを用いてで1000bp以下のサイズ分布、さらにPCR不可能な50bp以下のDNA濃度のプロファイル(品質劣化プロファイル)を作成する予定だったが、1000bp以下のサイズのDNAのサイズ分布を解析する感度が満たしておらず、検討できていない。 このため品質劣化の指標となるものを再度、検討しなければならないため、計画とは少し遅れていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
品質劣化の指標となるものを再度、検討しなければならないと考えている。その方法として現在注目しているのが、ゲノムDNAの次世代シークエンス(NGS)を行う前にDNAの品質を確認するための指標として用いているDNA Integrity Number(DIN)である。これはDNAの分解度つまり断片化を測定できる。組織でのDNAはDINが3以下である場合にはNGSに用いるDNA量を増やしてPCRを行うことも試みられている。また最近、cfDNAのためのDINを解析するキットが販売されているのでこれを用いて我々が保存しているcfDNA検体を用いてNGSで解析可能な検体と不可能な検体でDINの値がどのように異なるのかを検討し、品質劣化プロファイルの指標になるかを検討する。このキットではDIN値以外にもcfDNAの割合や高分子量のDNAの混入・50-800bpのサイズ分布が測定できる。これらも品質劣化プロファイルの指標になるか検討する。またNGS解析できないものは組織のようにDNA量を増やせばできるのか、改善方法も検討する。 またLiquid biopsy検体を用いた遺伝子パネル検査も盛んに行われているので、そこで用いられる専用の採血管を使った場合のDIN値を測定し検査に最もふさわしい検体の濃度・分解度・cfDNAの割合や高分子量のDNAの混入・50-800bpのサイズ分布などの解析も進める。
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