研究課題/領域番号 |
18K07464
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
内藤 省太郎 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 准教授 (60584480)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | サルコペニア / フレイル / 慢性腎臓病 |
研究実績の概要 |
本研究は、慢性腎臓病(CKD)患者におけるフレイル・サルコペニアの頻度とその危険因子・予後を検討することを目的とする。 1.東京医科歯科大学腎臓内科外来患者におけるCKD患者の解析 2016年に登録した367名の透析未導入の保存期CKD患者を追跡フォローしている。ベースラインのデータを用いてサルコペニアの危険因子として男性、糖尿病、利尿薬の使用があげられることを示し、2018年にPLOS ONE誌に報告している。特にループ利尿薬がサルコペニアと強い相関を持ち、CKD患者はループ利尿薬を頻用されることから、CKD患者への安易な利尿薬使用へ警鐘をならす意義があった。また、登録時の血清ミオスタチン値と腎機能、筋肉量、ループ利尿薬の関係を検討し、2018年の米国腎臓学会にて発表した。即ち、ミオスタチン値は筋肉量と正の相関を持つが、ループ利尿薬使用、腎機能(推算糸球体濾過量)、CRPとは負の相関関係であった。また、ループ利尿薬使用下では、ミオスタチン値と筋肉量の比例関係がより顕著になることを示した。ループ利尿薬使用者は、浮腫、心不全、尿毒症、肝硬変等を伴なっていることが多く、それらの病態が筋肉量とミオスタチン値の関係を修飾していると考えられた。 2.地域基幹病院における透析導入患者のフレイル・サルコペニアの実態とその予後についての検討 末期腎不全により透析導入に至った患者を対象とする前向きコホートを立ち上げ、透析導入時のフレイルとサルコペニアの実態を評価し、その危険因子を同定し、合併症(心血管疾患、感染症、悪性腫瘍)の発症、生命予後に影響を与えるかを前向きに調査することを目標としている。現在、東京医科歯科大学腎臓内科及び関連施設にて症例登録を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1.東京医科歯科大学腎臓内科外来患者におけるCKD患者の解析 現在、登録後3年目のデータ収集を行っており、収集完了後に統計解析を行う予定である。 2.地域基幹病院における透析導入患者のフレイル・サルコペニアの実態とその予後についての検討 「透析導入患者のサルコペニア・フレイルの実態とその予後についての観察研究」として、東京医科歯科大学医学部倫理審査委員会を始め、関連病院数施設でも既に倫理委員会で承認され、登録を開始している。現在12名の登録が行われているが、新型コロナウイルス感染症により新規登録が滞っている状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
1.東京医科歯科大学腎臓内科外来患者におけるCKD患者の解析 登録後3年目のデータ収集を行い、収集完了後に統計解析を行う予定である。ベースラインの各種パラメータ(年齢、性別、腎機能、ミオスタチン値、サルコ ペニアの有無等)を独立変数、心血管疾患、透析導入、クレアチニン値の2倍化、死亡を従属変数としてCox回帰分析にて検討する。 2.地域基幹病院における透析導入患者のフレイル・サルコペニアの実態とその予後についての検討 既に開始した研究対象者のリクルートを進め、1年間で200人を目標として登録を行う。フレイルの評価は、Friedによる定義・厚生労働省によるチェックリストを用いて行い、サルコペニアの診断は、筋肉量をDEXAまたはバイオインピー ダンス法で行い、筋力は握力、機能は歩行速度で評価する。また、透析導入時の通常の血液検査項目に加え、合併症、内服薬等の項目を記録する。各施設から、 研究対象者の血清サンプルを搬送することが可能となれば、中央研究機関である東京医科歯科大学にてミオスタチン等のバイオマーカーの測定を行う。3年間追跡し、合併症(心血管疾患、感染症、悪性腫瘍)の発症、生命予後との関係を前向きに検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2.地域基幹病院における透析導入患者のフレイル・サルコペニアの実態とその予後についての検討 現在症例登録中であり、患者検体におけるミオスタチンをはじめとする各種バイオマーカーの測定や、その他データ解析はある程度の症例が集まった時点で行う予定のため、その時点で試薬等の購入が必要となる。
|