研究課題/領域番号 |
18K07468
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
野島 順三 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30448071)
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研究分担者 |
家子 正裕 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (50250436)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 抗リン脂質抗体症候群 / 抗カルジオリピン抗体 / 抗β2グリコプロテインI抗体 / 自動分析装置 |
研究実績の概要 |
抗リン脂質抗体症候群(APS)検査診断指針の作成に関する研究では、APSの検査診断に必須である抗カルジオリピン抗体(aCL) および抗β2グリコプロテインI抗体(aβ2GPI)について、各種ELISAキットおよび自動分析装置による抗リン脂質抗体測定値の健常人基準値設定や施設間差を検討し、自動分析装置による抗体価測定は再現性が良く、施設間差もほとんど認めないことからAPS検査診断の標準化に極めて有用性が高いことを確認した。そして、各種患者血漿100例(APS 20例、SLE合併APS 30例、SLE 10例およびSLE以外の膠原病 40例)および健常人血漿30例を用いた多施設(山口大学・北海道大学・金沢大学・北海道医療大学)共同研究にて、3社の自動分析装置と市販ELISAキットで測定された抗体価を比較した結果,同一種類の抗体であれば、概ね良好な相関が認められた。更に臨床的カットオフ値を設定し、陽性陰性一致率を比較検討した結果、一部に乖離例が認められたものの概ね一致した結果が得られた。これらの研究成果を、日本血栓止血学会標準化委員会シンポジウムで発表した。 抗リン脂質抗体の血栓形成作用の解明に関する研究では、aCL/β2GPIとaPS/PTが共存することにより,APC系凝固制御機構が強力に抑制されること,更には単球 からのTFおよびTNF-α産生が増幅されることを明らかにした。APC系凝固制御機構に対する抑制作用は,主に静脈血栓症の発症に関連していると推測される。一方,TFおよびTNF-αの産生促進作用は,動脈・静脈問わず血栓形成の中心的な役割を担っていると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和1年度の研究実施計画は、多施設(山口大学・北海道大学・金沢大学・北海道医療大学)共同研究にて、3社の自動分析装置と市販ELISAキットで測定された抗体価の相関および陽性陰性一致率を比較検討する事であり、概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
認識エピトープ別抗リン脂質抗体測定ELISAの開発とAPS検査診断指針の作成に関しては、多施設共同の臨床研究にて、確立したELISAに加え、市販キットおよび自動分析装置、さらには研究・開発中のELISAも含めて、それぞれの合併症に特異的な抗リン脂質抗体の組み合わせを特定し、効率よく的確にAPSを鑑別するための検査診断指針を作成する。 各種抗リン脂質抗体の血栓形成作用および細胞傷害作用の解明に関しては、独自開発のヒト動脈(静脈)内皮細胞・単核球・血小板の共培養実験系:接触系・非接触系を用いて、細胞表面TF発現・接着分子の発現・各種サイトカインの産生・一酸化窒素(NO)産生・活性酸素種(ROMs)産生・血小板活性化などを促進させる抗リン脂質抗体のタイプおよび組み合わせを検討する。
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