研究課題/領域番号 |
18K07469
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
熊木 天児 愛媛大学, 医学部附属病院, 教授 (30594147)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 膵癌 / 化学療法 / 緩和ケア / 予後予測因子 / 適応基準 |
研究実績の概要 |
膵癌に対する新規化学療法登場により、長期予後は改善している。しかし、化学療法を受ける膵癌患者の予後不良因子は不明である。膵癌診療の向上を目指した 本臨床研究では、「化学療法における予後不良因子を解明してQOLにも配慮した診療指針を提起すること」を目的とし、新たな診療アルゴリズムを提唱したい。 そこで、2011から2013年にEhime Pancreato-Cholangiology (EPOCH) Study Groupで化学療法(n = 153)、緩和ケアのみ(n = 43)を受けた196人の切除不能膵 癌患者を対象として、年齢、性別、PS、治療前検査成績(白血球、好中球、リンパ球、血小板、アルブミン、CRP、CA19-9、CEA)、腫瘍因子 [国際癌胎児性制御 (UICC)ステージ(第7版)、腫瘍の位置、遠隔転移]、および診断からの生存期間などの臨床データを後ろ向きに収集し、切除不能膵癌患者のための簡便な予後 予測因子を探索することを目的に解析を行った。 その結果、単変量解析により化学療法群では肝転移、腹膜転移、好中球数、アルブミン値、CRP、NLR、CAR、CEAおよびCA19-9、緩和ケア群ではPS、肺転移、腹膜 転移、CRP、CAR、CEAおよびCA19-9が予後予測因子として抽出された。さらには、多変量解析により化学療法群では肝転移(p <0.001)、NLR(p <0.001)および CA19-9(p = 0.036)、緩和ケア群では肺転移(p = 0.004)、腹膜転移(p = 0.014)およびCAR(p = 0.003)が独立した予後予測因子であることが明らかに なった。これらの簡便なマーカーは、切除不能膵癌患者の予後評価および治療選択の際に役立つ指標と考えられ、QOLに配慮した診療のみならず医療経済を考慮 した診療に貢献できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膵癌診療の向上を目指した本臨床研究では、「膵癌危険因子を有する群の中からさらに高危険度群を明らかにすること」および「化学療法における予後不良因子 を解明してQOLにも配慮した診療指針を提起すること」を目的としており、後者に関しては論文受理されたため。 なお、当初、前者の前向き研究「膵癌危険因子を有する群の中からさらに高危険度群を明らかにすること」を遂行する予定であった。しかし、新型コロナウイルスの影響により、診療や研究活動に制限があったため遂行を断念し、別途後ろ向きでデータ解析の可能なテーマを模索してきた。その一つとして「慢性肝疾患患者の肝細胞癌に対するサーベイランスが膵癌診療、特に長期予後に与える影響」について論文が受理された。
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今後の研究の推進方策 |
上記と同様に、別途後ろ向きでデータ解析の可能なテーマをさらに模索している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で研究テーマの遂行が難しくなったため。また、研究成果を発表する機会が減ったため。
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