研究課題/領域番号 |
18K07487
|
研究機関 | 長崎国際大学 |
研究代表者 |
大磯 茂 長崎国際大学, 薬学部, 准教授 (40513106)
|
研究分担者 |
仮屋薗 博子 長崎国際大学, 薬学部, 教授 (20437958)
森永 紀 第一薬科大学, 薬学部, 准教授 (60465771)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | ビガバトリン / ラコサミド / ペランパネル / モノクローナル抗体 / 薬物濃度測定法 |
研究実績の概要 |
本研究では、新規抗てんかん薬であるビガバトリン、ラコサミドおよびペランパネルに対するモノクローナル抗体を作製し、高感度かつ簡便な薬物濃度測定法の開発を目指し、研究を進めた。 まず、キャリア蛋白との複合体を比較的作製しやすく、抗体ができる可能性が高いと考えられたラコサミドに対する抗体作製を試みた。ラコサミド自身は、複合体作製に利用できる官能基が構造中になかったことから、誘導体である(R)-2-Amino-N-benzyl-3-methoxypropionamide(ABMP)を用いて、ヒト血清アルブミン(HSA)およびスカシ貝ヘモシアニン(KLH)との複合体作製を行った。その後、ABMP-KLHまたはABMP-HSAを別々のBalb/cマウスに免疫したところ、徐々に抗体価の上昇がみられた。ラコサミドを用いて競合的ELISAを行った結果、部分的ではあったが競合する結果がみられたことからラコサミドに対する抗体がマウス内で生成していることが確認された。しかしながら、その後、細胞融合を行うもラコサミドに対する抗体を単離するには至らなかった。 上記抗体作製と同時に、ポリエーテルスルホン膜およびナイロン膜を用いたドットブロット法により薬物濃度が検出可能かをすでに当研究室にて保有しているダビガトランに対する抗体を用いて検討したところ、いずれの膜においてもドットブロット法により検出可能であることを見出した。本ドットブロット法では検出法に化学発光法を用いた場合でも検出可能であった。 今後は、ラコサミドに対する抗体作製を再度試みるとともに、ビガバトリンおよびペランパネルに対する抗体作製も進め、得られた抗体による濃度測定法の開発を進めたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラコサミドに対する抗体作製において、マウスの血清では抗体価の上昇がみられたものの、細胞融合後の抗体精製がうまくいかなかった。うまくいかなかった理由としては、ラコサミドに特異的な抗体以外に他物質に対する抗体が多く生成しており融合率が低かった可能性があること、細胞融合時の手技の不備などが考えられる。 ただ、一方で、ドットブロットによる検出法についてすでに保有している抗体を用いて検討したところ、測定法の手順を考えるのに必要な基本的知見は得られた。従って抗体が単離できれば、本検出法による濃度測定法の開発はスムーズに進められる状況にある。 以上のことから、「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
ラコサミドに対する抗体作製においては複合体の作製から再度試行する。それでもうまくいかない場合は、別の誘導体を作成して検討を行う。またビガバトリンおよびペランパネルについても作製を進めるが、ペランパネルについては当初予定していたシアノ基の酸化ではなく、鈴木カップリング反応を用いた抗原薬物の作成を試みる(後者の反応の方が目的化合物を得やすいと考えられるため)。分担研究者が化学反応については詳しく、化学合成反応手技も慣れているため、協力してペランパネルの抗体作製を進める予定である。 また細胞融合手技の不備もあるため、再度プロトコールを見直し、最適な手技を検討する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本次年度使用額は、ラコサミドに対する抗体作製が成功した後の実験で使用する予定であったが、抗体作製がうまくいかなかったため、残額が生じてしまった。抗体作製は次年度も継続するので、その研究推進のために使用する予定である。
|