研究課題/領域番号 |
18K07495
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
瀧山 嘉久 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (00245052)
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研究分担者 |
高 紀信 山梨大学, 大学院総合研究部, 臨床助教 (00622557)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 遺伝性痙性対麻痺 / 遺伝子 / 分子病態 / エンドソーム |
研究実績の概要 |
我々が事務局を務めている、全国多施設共同研究体制であるJapan Spastic Paraplegia Research Consortium (JASPAC) において、exome解析により既知のHSP遺伝子変異がないことが判明している遺伝性痙性対麻痺 (HSP) 家系の中から新たなHSP原因遺伝子を2つ同定した。 常染色体劣性遺伝性HSPでは、3家系4名の患者 (孤発性HSP 1家系を含む) にVPS13D遺伝子変異が共通すること、その臨床像は成人発症の純粋型HSPと小児期発症の複合型HSPを呈することを見出した (論文投稿中)。また、常染色体優性遺伝性HSPでは、4家系6名の患者 (孤発性HSP 1家系を含む) にUBAP1遺伝子の機能喪失型変異が共通すること、分子病態機序がエンドソームの機能障害であること、その臨床像はすべての家系で小児期発症の純粋型HSPを呈することを見出した (論文投稿中)。 さらに、SPG4 (J Neurol Sci 2019)、SPG5 (Intern Med 2019)、SPG9B (J Hum Genet 2018)、SPG11 (Intern Med 2018)、SPG15 (Neurol Sci 2019)、SPG57 (J Med Genet 2019)、PLA2G6 (J Hum Genet 2019) について、それぞれの疾患において新しい遺伝子変異と臨床像を詳細に解析して論文報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最初の1年間に予定していた研究内容がほぼ終了できているため。
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今後の研究の推進方策 |
UBAP1遺伝子の研究については、現在、knock-in mouseを作成中である。今後は、knock-in mouseのphenotypeや神経病理を検討する。さらにknock-in mouseを用いて薬剤スクリーニングを行い、HSPの根治療法開発を目指す。 JASPACおよび国内共同研究施設に登録されている優性遺伝性HSP 8家系のindex patientに、exome解析にて新規原因遺伝子候補Xの変異が共通することを見出している (国内施設との共同研究)。今後は、direct sequencingにより本遺伝子の家系内共分離を確認する。その後、培養細胞を用いて原因タンパクの発現と機能解析を行う。 ドイツの研究グループから、彼らが見出した劣性遺伝性HSPの新規原因遺伝子候補Yについて、共同研究を依頼されている。現在、JASPACに登録されている劣性遺伝性HSPのexome解析データを確認しているところである。新規原因遺伝子候補Yの変異がある本邦HSP家系が見出されれば、臨床・遺伝学的に解析を進める。 Exome解析により既知の原因遺伝子変異がないことが判明している、そのほかの優性遺伝性HSP家系、劣性遺伝性HSP家系に関して、連鎖解析、aCGH解析、exome解析、Sanger法による解析を組み合わせて新規原因遺伝子の同定に向けての研究を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたアメリカでの米国人類遺伝学会への参加を見送ったため、外国旅費の支出がありませんでした。また、実験等に使用する物品の購入も予定していたより少なかったように思います。 当初の計画にはなかった、UBAP1遺伝子についてknock-in mouseの作成費用に充てたいと思います。また、エクソーム解析等も積極的に行う予定です。
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