研究課題/領域番号 |
18K07496
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
下畑 享良 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60361911)
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研究分担者 |
金澤 雅人 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (80645101)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 低酸素低糖刺激 / ミクログリア / 末梢血単核球 |
研究実績の概要 |
これまでの研究において,ミクログリアに対して最適な条件で低酸素・低糖刺激(oxygen-glucose deprivation; OGD)刺激を行ったOGDミクログリア療法は,血管新生や神経細胞軸索の促進を介することにより,脳血管障害後の機能障害を改善する可能性がある(Sci Rep. 2017 Feb 14;7:42582; Int J Mol Sci. 2017 Oct 13;18(10):2135).本年度は,ミクログリアの前段階である末梢血単核球(peripheral blood mononuclear cells; PBMCs)に対してOGD刺激を行い,その声質の変化を検討した.この結果,OGD-PBMCは血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor; VEGF)やtransforming growth factor-β(TGF -β)といった血管リモデリング因子を分泌することをin vitroの実験系で明らかにした.一方,動物モデルにおいて7日目に経動脈的に投与したところ,脳実質に存在し,28日目の予後を改善することを明らかにした.しかもこの投与により,stage-specific embryonic antigen-3(SSEA3)陽性細胞(すなわちMuse細胞; Multlineage-differentiating Stress Enduring cells)を誘導できることをin vitroおよびin vivoにおいて,明らかにした.またOGD-PBMCsは血液脳関門の移行もOGD前と比較して促進されていた.さらにOGD-PBMCは血管新生と神経細胞の軸索進展を促進した.以上の結果から, OGD-PBMC療法は有望であると考えられる.なお上記結果については,論文報告を行い,Sci Rep. 2019 Nov 14;9(1):16819.に報告を行った.今後,ヒトにおける臨床試験を目指して,OGDを臨床現場で行うための機器の開発のための準備を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画以上に研究は進展した.さらにこのまま計画に従って検討を進め,産学連携に繋げたい.
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今後の研究の推進方策 |
低酸素低糖刺激末梢血単核球の性質と治療効果に関するさらなる検討を進め,実臨床で使用するための機器を開発する.
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