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2019 年度 実施状況報告書

二分脊椎運動障害の内科的治療法の確立ープロサポシン由来ペプチドの臨床応用ー

研究課題

研究課題/領域番号 18K07500
研究機関愛媛大学

研究代表者

カーン モハメドシャキル  愛媛大学, 医学系研究科, 助教(特定教員) (70746867)

研究分担者 鍋加 浩明  愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (60581098)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード二分脊髄 / 脊髄障害 / プロサポシン / 神経栄養因子 / 神経障害治療 / 免疫
研究実績の概要

二分脊椎症は運動、排尿障害、下肢の変形等が起こる整形外科、脳神経外科、小児科等の領域で重要な疾患である。二分脊椎の治療法は確立しておらず革新的な治療法を検討する必要がある。胎児の外科的手術等も行われたが良好な結果は得られていない。申請者らは、手術により脊髄を再開裂し、二分脊椎ヒヨコモデルを世界で初めて作成することに成功し、小型神経減少、運動神経発生遅延、感覚神経走行異常を報告した(Mominoki ら2006)。申請者らは鶏胚を用いて手術的に二分脊椎を作成し、神経成長因子等の投与により治療を行う事を考えた。 申請者らの実験により、強力な成長因子プロサポシンに由来する18-merペプチド(PS18)が、再開裂された神経管の卵内再生を可能にすることが実証された。同時にPS18投与により腰仙部の背側部欠損も治療された。さらに、痛み刺激に関するGABAニューロンに対する影響を検討し、論文を作成し投稿中である。
Khan MSI, et al. Suppression of GABAergic transmission in the spinal dorsal horn induces pain-related behavior in a chicken model of spina bifida. (Under review, Histology and Histopathology)
また、PS18は、二分脊椎ヒヨコの脊髄変形と神経障害を部分的に改善した。PS18投与 は同時に、脊髄内の炎症性サイトカイン、腫瘍壊死因子(TNF-α)、インターフェロンガンマ(IFN- γ)および誘導性一酸化窒素合成酵素(iNOS)も上昇させることも明らかになった。今後は、PS18の治療メカニズムをさらに検討するとともに、今回得られた免疫系との関連についても検討する為の結果が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では神経栄養因子の一つであるプロサポシンの神経栄養因子作用を持つ配列を合成した18個のペプチド(PS18)の二分脊髄への治療効果を確かめることが目的であった。PS18の治療効果は十分に証明され、同時に免疫系への影響も示された。今後はさらに宿主免疫と二分脊髄治療の関係に関して研究を進展させたい。

今後の研究の推進方策

PS18の治療効果は十分に証明され、PS18投与 は同時に、脊髄内の炎症性サイトカイン、腫瘍壊死因子(TNF-α)、インターフェロンガンマ(IFN- γ)および誘導性一酸化窒素合成酵素(iNOS)も上昇させる。以前の報告で、母性免疫を刺激するこ とにより神経管の欠損が減少することが示唆されている。また、免疫調節因子であるCpG-ODNは、 自然免疫および適応免疫応答を活性化し、TNF-α、IFN-γ、iNOS、GM-CSF、インターロイキンなどの 炎症誘発性サイトカインの産生を刺激する。同時にCpG-ODNは、強力な神経保護効果も発揮するこ とが報告されている。したがって、CpG-ODNによる宿主免疫の賦活化は、二分脊椎に治療効果をも たらす可能性がある。本研究は、二分脊椎治療に関する2つの重要な新規のアプローチを含む。第一 は、CpG-ODNを使用して宿主の免疫を調節することによる治療法の開発である。第二に、二分脊椎 を含むCpG-ODNの治療効果のメカニズムの解明である。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額は254円と少額で有り、敢えて無理に使用するよりも次年度に回して、有効に使用した方が良いと考えたから。次年度は本未使用額も含め、全て本研究に使用する計画である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Age- and sex-associated changes in prosaposin and its receptors in the lacrimal glands of rats2020

    • 著者名/発表者名
      Islam F, Khan MSI, Nabeka H, Saito S, Shimokawa T, Yamamiya K, Matsuda S
    • 雑誌名

      Histology and Histopathology

      巻: 35 ページ: 69 ~ 81

    • DOI

      10.14670/HH-18-137

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Prosaposin derived 18-mer peptide enables in ovo regeneration of neuroal tube defects.2020

    • 著者名/発表者名
      Md. Sakirul Islam Khan, Hiroaki Nabeka, Farzana Islam, Tetsuya Shimokawa, Kimiko Yamamiya, Takuya Doihara,Seiji Matsuda
    • 学会等名
      第125回日本解剖学会総会・全国学術集会
  • [学会発表] Prosaposin derived 18-mer peptide promotes neural tube regeneration in a chicken model of spina bifida aperta2019

    • 著者名/発表者名
      Md. Sakirul Islam Khan, Hiroaki Nabeka, Farzana Islam, Tetsuya Shimokawa, Takuya Doihara, Kimiko Yamamiya, Seiji Matsuda
    • 学会等名
      第124回日本解剖学会総会・全国学術集会

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公開日: 2021-01-27  

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