研究課題
創薬機構から分与を受けたoff-patent医薬品ライブラリー(1,280種)の分与を受けた薬剤スクリーニングにより、ピルビニウムパモ酸塩とアポモルフィン塩酸塩は、in vitroで強いTTRアミロイド抑制作用を持つことが判明したため、新たに開発したトランスジェニック線虫モデルを用いてin vivoでの効果を検証した。ピルビニウムパモ酸塩は、元々駆虫薬として使用されている薬剤であるため、線虫に対する毒性が強くin vivoの評価は困難であった。アポモルフィン塩酸塩を用いたin vivoの検討は現在実施中である。ピルビニウムパモ酸塩とアポモルフィン塩酸塩は内服による吸収が不良であることが報告されているため、本症の主たる治療標的臓器である末梢神経や心臓などに薬剤を運搬するためには工夫が必要と考えられた。最終的な臨床応用に向けてDDSは大きな研究課題である。本年度は、本研究で開発した独自の細胞培養上のTTRアミロイド形成モデルを用いて、TTRアミロイド形成に伴い培養細胞に生じる病態変化を解析した。網羅的遺伝子発現解析で、炎症に関連する分子の発現が亢進していること、Fasに関連した細胞死が生じていること、細胞死を生じると共に細胞増加を促す傾向も観察された。TTRアミロイドーシスの病態や臓器障害機構を考える上で興味深い現象と考えられる。またバイオマーカー探索を行い、growth and differentiation factor-15(GDF-15)の血中濃度が病初期から増加していることを見出し論文発表した。
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