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2019 年度 実施状況報告書

Loss of functionモデルに基づいたUBQLN2の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 18K07504
研究機関横浜市立大学

研究代表者

田中 健一  横浜市立大学, 医学部, 客員研究員 (50722881)

研究分担者 土井 宏  横浜市立大学, 医学部, 准教授 (10326035)
竹内 英之  横浜市立大学, 医学部, 准教授 (30362213)
田中 章景  横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (30378012)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードALS / UBQLN2 / コンディショナルノックアウト
研究実績の概要

UBQLN2は家族性筋萎縮性側索硬化症(FALS)の責任遺伝子として同定され、FALS以外にも弧発性筋萎縮性側索硬化症にの脊髄において凝集体を形成することがわかっており、ユビキチン-プロテアソームシステム(UPS)を含む多様な細胞機能に関わることが知られている。しかし、変異から疾患発症にいたる病態機序は不明な点が多い。既報告でUbqln2トータルノックアウトラット・マウスは無症状であることが示されたが、近年UBQLN2変異によって、シャペロン結合性が低下し、凝集体処理能低下をきたすとの報告がなされ、UBQLN2の機能喪失が病態にかかわることが強く示唆されている。哺乳類においてUBQLNは1-4のアイソフォームが存在し、特にUBQLN1との相同性が高いことから、我々はこれまでのトータルノックアウトモデルではGene redundancyのため表現型が出現しなかった可能性があると考えている。我々はCre‐loxP systemを用いて、Ubqln2コンディショナルノックアウトマウス、すなわち、全身または神経細胞でのUbqln2のノックアウト、薬剤誘発によるUbqln2ノックアウトといった複数の系統の作成を行っている。現在Actb-Creマウスとの交配によるトータルノックアウト、Tubb3-Creとの交配による神経特異的ノックアウト、Tamoxifen誘導下に、③UBCプロモーター下 (UBC-cre/ERT2)および④Thy1.2プロモーター下(Thy1-cre/ERT2,-EYFP)にCreを発現するマウスとの交配をおこなっている。①、②のマウスに対して運動機能評価を行い、神経特異的コンディショナルノックアウトマウスはlitter mateの非ノックアウトマウスと比較して運動機能が低下傾向である結果が得られている。③、④についてはマウスが誕生し、運動機能評価を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前項目の①、②のマウスモデルに関しては実験に十分な個体数が繁殖できており、wire hang test、rota-rod testといった行動解析について概ね終了している。行動解析が終了したマウスに関して今後、組織学的、病理学的な解析を行っていく予定で準備が進んでいる。また、行動解析の手法に関して①、②の実験ですでに実験条件に関して調整が済んでおりマウスの個体数が増え次第、すぐに行動解析をはじめられる状態である。③、④マウスに関しては現在、マウスが誕生したため、タモキシフェンを投与し、神経特異的なUBQLN2のノックアウトをウェスタンブロッティングや組織の染色で確認中である。

今後の研究の推進方策

引き続き、Ubqln2コンディショナルノックアウトマウスの行動解析を進めていく。前項の①、②マウスに関しては今後、神経系の組織染色を行い、非ノックアウトマウスと比較しての形態変化や神経細胞脱落の有無がないかなどを病理的に解析していく予定である。また、ALSを含む神経変性疾患において神経細胞内にタンパク凝集体が形成されるのが病理学的な特徴であるため、コンディショナルノックアウトマウスの神経細胞でタンパク凝集体、封入体の形成などが生じていないかを免疫染色の手法を用いて確認していく。また、Ubqln2ノックアウトマウスから初代神経培養細胞を作成し、飢餓、ヒートショック、H2O2など種々のストレス下においてユビキチン陽性凝集体が認められるか確認する。また、Hsc71のrefolding活性や、オートファジー阻害薬による脆弱性、シャペロン介在性オートファジー基質MEF2Dの増加の有無を解析する。③、④については、運動機能評価として、wire hang test、rotarod testなどの行動解析や病理学的な解析を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

マウスの作成、表現型解析についてはおおむね順調に進行しているが、初代神経細胞を使った機能解析、病理学的解析への着手が遅れたため、培養試薬、抗体等、物品購入に多少の遅れをきたした。その結果次年度使用額が生じた。次年度は引きつづき、マウス維持費、Ubqln2ノックアウトマウスから初代神経培養細胞実験にかかる物品費に使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)

  • [雑誌論文] Adult-onset vocal cord paralysis in slow-channel congenital myasthenic syndrome2019

    • 著者名/発表者名
      Nakamura H, Komiya H, Uematsu E, Nakae Y, Tanaka K, Kunii M, Tada M, Joki H, Koyano S, Matsumoto N, Doi H, Takeuchi H, Tanaka F
    • 雑誌名

      Neurol Clin Pract

      巻: 9 ページ: e45-e47

    • DOI

      10.1212/CPJ.0000000000000599

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Proteomic Analysis of Exosome-Enriched Fractions Derived From Cerebrospinal Fluid of Amyotrophic Lateral Sclerosis Patients2019

    • 著者名/発表者名
      Hayashi N, Doi H, Kurata Y, Kagawa H, Atobe Y, Funakoshi K, Tada M, Katsumoto A, Tanaka K, Kunii M, Nakamura H, Takahashi K, Takeuchi H, Koyano S, Kimura Y, Hirano H, Tanaka F
    • 雑誌名

      Neurosci Res

      巻: 19 ページ: 30487-0

    • DOI

      10.1016/j.neures.2019.10.010

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Ataxic phenotype with altered CaV3.1 channel property in a mouse model for spinocerebellar ataxia2019

    • 著者名/発表者名
      Hashiguchi Sら
    • 雑誌名

      Neurobiol Dis

      巻: 130 ページ: 104516

    • DOI

      10.1016/j.nbd.2019.104516

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Novel VRK1 Mutations in a Patient with Childhood-onset Motor Neuron Disease2019

    • 著者名/発表者名
      Yamaura G, Higashiyama Y, Kusama K, Kunii M, Tanaka K, Koyano S, Nakashima M, Tsurusaki Y, Miyake N, Saitsu H, Iwahashi Y, Joki H, Matsumoto N, Doi H, Tanaka F
    • 雑誌名

      Intern Med

      巻: 58 ページ: 2715-2719

    • DOI

      10.2169/internalmedicine.2126-18

    • 査読あり

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公開日: 2021-01-27  

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