研究課題/領域番号 |
18K07507
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
伊藤 義彰 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (90265786)
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研究分担者 |
安部 貴人 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (30365233)
武田 景敏 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (90445015)
竹内 潤 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (20771819)
三野 俊和 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (60597566)
長谷川 樹 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 医員 (90793753)
木村 裕子 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 前期臨床研究医 (20815394)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アミロイドβ / アルツハイマー病 / タウ蛋白 / Glymphatic系 |
研究実績の概要 |
アルツハイマー病におけるアミロイドβのGlymphatic系を介したクリアランスを解析するため、実験動物を用いてin vivoにてアミロイドβの移動を経時的に解析した。TIE2-GFPマウスに頭窓を増設し、脳表にHyLyte-amyloidβを滴下し、二光子顕微鏡を用いて経時的にアミロイドβの移動を評価した。TIE2-GFPマウスは血管内皮細胞にのみGFPを発現することが確認されている。 滴下直後には脳表に限局していたアミロイドβは深部100μmでは、10分後から、穿通動脈を取り囲むように描出され、15分後には、穿通静脈、20分後には毛細血管、脳実質parenchymaのアストロサイト内に蓄積されている様子が観察された。穿通枝周辺のアミロイドは主にアストロサイトのend-footに集積している様子が観察された。垂直方向に脳表から深部500μmまでのアミロイドβを観察すると、滴下80分後には脳表付近では実質のアストロサイト、毛細血管や穿通血管周囲にアミロイドβの蓄積を認めた。 生体においては、ニューロンから切り離されたアミロイドがアストロサイトのendfootを介して脳表に排出される可能性が示唆されたが、今後、さらに動物数を増やし所見を確定させることと同時に、免疫染色、gap junctionの阻害薬などで、Glymphatic系との関連を明らかにしていく必要がある。本研究は、脳微小循環学会特別講演にてその内容およびアルツハイマー病の臨床における病的意義とともに発表した。 また本研究とならんで、臨床的にアルツハイマー病における病気とアミロイドβ、タウ蛋白の広がり(拡散)についてPBB3, PiBをトレーサーとしたPETを施行し、病期の進行に伴いタウ蛋白が脳内にpropagateしていく様子を観察し、現在雑誌Neurological Sciencesに投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度では、実験系が順調に稼働し、アミロイドβの移動を脳表から深部にかけて観察することに成功している。画像の取得はアストロサイトのendfoot内で詳細に観察されており、方法論的には確立したといえる。 TIE2-GFP動物の飼育、繁殖も順調であり、実験は今後も計画通りに進捗することが予想される。 中間結果については、学会の特別講演や学術集会でも発表しており、画期的な解析に対して高い評価を得ている。 こうしたことから、本研究は間違いなく次年度以降も計画された成果を上げることが可能であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
アミロイドβの移動については、まず脳表から深部にかけての移動について上記で得られた所見を、動物数を増やし確定させることが必要である。 一方で、実際のアミロイドの移動の方向は脳実質から血管系、脳表髄液への移動である。したがって深部にアミロイドを注入する方法でアルツハイマー病と同様なアミロイドβの移動モデルを作成する。そのためのstereotaxicな注入装置はすでに購入し、深部注入について色素を用いた標的確認を現在開始している。 さらに免疫染色、gap junctionの阻害薬などで、Glymphatic系との関連を明らかにしていく必要がある。特に、血管周囲のリンパ流の同定・描出には蛍光標識dextranを用いる。これにより脳実質から血管周囲への移行、さらに脳表への排出が測定でき、これを経時的に測定することでリンパ流の方向、動脈・静脈選択性、拡散と対流の区別などが可能となり、脳実質の蛋白質の排泄経路を明らかにすることができる。また逆に脳表から脳実質に流入する経路は、標識物質を脳表へ滴下したり大槽内へ注入したりした後で血管周囲および実質への移行を評価する。。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の薬剤費に使用する。
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