研究課題
多発性硬化症(MS)は若年成人の中枢神経系を侵す脱髄疾患であり、本邦でも患者数が増加の一途を辿っている。MSの主たる病理は炎症性脱髄であるが、造血幹細胞移植等により炎症を完全に封じ込めてもなお、MSは悪化し得ることが最近報告されており、慢性脱髄が一因となる神経変性がその原因として考えられている。一般にMS患者の髄鞘再生能力は低下しているが、個人差も認められる。髄鞘再生医薬の臨床試験も国外で開始されている中、MSにおける髄鞘再生と長期予後の関係を明らかにすることは極めて重要である。一般臨床に使用されているMRIでは髄鞘再生は可視化困難であるが、申請者らは髄鞘を特異的に可視化するMRI撮像法「ミエリンマップ法」を2016年に開発した。本研究ではこの新技術を用いて、MS患者の髄鞘再生能力と、長期予後の関係を解析し、今後のMSの治療戦略における髄鞘再生医薬の意義を明確にすることを目的とする。上記目的を達成するには、MS患者のミエリンマップと臨床症状の推移を長期に追跡し分析することが必要となる。2019年度末までに約90名のMS患者に本研究に参加同意を得ており、定期的なミエリンマップの撮影と臨床症状の確認を行っているところである。
2: おおむね順調に進展している
約90名の患者から同意を得て、定期的なデータ蓄積を行っており、当初計画の通り順調に進捗している。
引き続きより多くの患者から同意を取得し、本研究に必要なデータ蓄積を進捗させる。
データ解析を集約化することを目的として、研究計画の順番を一部修正したことに伴い、予算を次年度に繰り越すこととなった。当該研究計画が実施される年度に使用する予定である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 図書 (1件)
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