研究課題/領域番号 |
18K07510
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
常深 泰司 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50401344)
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研究分担者 |
赤松 和土 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (60338184)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | エキソソーム / ライブイメージング / 超解像顕微鏡 / ATP13A2 / パーキンソン病 |
研究実績の概要 |
Halo Tag;CD63をH4細胞に発現したのち、Halo Tag; STELLA Fluor; 650 Ligandを投与してCD63を蛍光色素で可視化し、超解像顕微鏡でライブイメージングを行った。まずintravesicular vesicles(ILVs)の形成過程を観察した。超解像顕微鏡にてmultivesicular bodies(MVBs)は容易に同定され、MVBs中のILVsも観察し得た。そこでmultivesicular bodies(MVBs)の内向き出芽により極めて短時間でILVsが形成されることがライブで観察され、これまでのILVsの生成過程の仮説が正しいことが裏付けられた。また形成されたILVsは絶え間なく細胞質へ放出されており、形成と放出の過程はダイナミックでMVBs内のILVs数は常に変動していることを観察した。そしてILVs が減少することが知られているパーキンソン病の原因遺伝子産物の1つであるATP13A2の発現抑制とmultivesicular bodiesのpHを上昇するBafilomycin A1の投与を行なったところ、共にMVBsの内向き出芽が抑制されることによりILVsが減少することを観察した。さらにMVBsは細胞内を比較的自由に移動しており、神経系の細胞における樹状突起や軸索側への移動は、超解像顕微鏡にてライブで観察することは困難であった。これまでにMVBsを細胞膜へ移動することが知られているionomycin投与でもMVBsの一定方向への動きは観察されなかった。また他の小胞を分離して観察する実験では、ライソゾームのマーカーとしてHalo Tag&;LAMP-1をearly endosomeのマーカーとしてHalo Tag&;EEA1を用いたが、多くの小胞がこれらの膜タンパク質を共発現しており、分離して観察は困難であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度1年間で予定していた実験は概ね完了することができており、順調に進展していると言える。同時に超解像顕微鏡のライブイメージングの限界もあり、本年度は予定通り、α-synucleinの神経細胞間伝播にエキソソームの果たす役割りの解析に移る。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度の実験にあたり、すでにiPS細胞の培養を開始し、順調に増殖しており近いうちにmicrofluidicsを用いた培養システムに移す予定である。またAlexa555でラベルしたα-synucleinをH4細胞に取り込ませて、放出されたAlexa555-α-synを含有するエキソソームも分離している。これらを用いて、上のチャンバーに健常人のドパミン細胞もしくはKRS患者由来のATP13A2の変異を有するドパミン細胞を培養し、下のチャンバーに健常人のドパミン細胞を培養する。そしてまず、上のチャンバーの細胞に取り込ませたAlexa555-α-synを含有するエキソソームが下のチャンバーの細胞に伝播するのか検討する。そしてATP13A2の変異によるエキソソームの放出低下が与える影響を、KRS患者由来のATP13A2の変異を有するドパミン細胞を上のチャンバーに培養して解明する。またレンチウイルスを用いたATP13A2の過剰発現が与える影響も解明する。
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