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2019 年度 実施状況報告書

反復発作性運動失調症の新規原因遺伝子探索と病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K07524
研究機関大阪大学

研究代表者

久保田 智哉  大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (20573231)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード反復発作性運動失調症 / EA2 / EA1 / 遺伝子解析 / Cav2.1
研究実績の概要

反復発作性運動失調症(episodic ataxia : EA)は、間欠的な運動失調発作を呈する希少疾患である。その殆どがEA2型(EA2)、ついでEA1型(EA1)が多いとされ、EA2は電位依存性カルシウムチャネルCav2.1をコードするCACNA1A遺伝子に、EA1は電位依存性カリウムチャネルKv1.1をコードするKCNA1遺伝子に変異を持つ常染色体優性遺伝の遺伝病であることが知られている。発作性に症状を呈する希少疾患であり、診断自体が困難であるため、疾患の自然暦、病態メカニズム、治療法が確立していない。そこで本研究では、同疾患の新規原因遺伝子変異の同定および病態メカニズム解明を目指した機能解析を計画し、研究を進めている。また、本邦でのEAの報告例自体が少ないため、平成29年度厚生労働省科学研究費“本邦における反復発作性運動失調症の実態把握調査”との連携により、本邦
でのEA例の探索と遺伝子解析の体制構築をすすめている。
本年度の特筆すべき成果として、遺伝子解析までされた本邦初のEA1家系を見出した。また、EAと臨床診断された症例で遺伝子解析がなされていない症例についても、次世代シークエンサーによる解析準備を進めており、概ね順調に進捗している。
本邦で見出された症例も解析対象として、機能解析のためのクローンの作成を進めている。Cut open voltage clamp法については、早期に解析開始できるよう、製作者との連絡も密にとることで整備を進めてきたが、入手にまでは至らず、代替法による研究遂行を検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成29-30年度厚生労働省科学研究費“本邦における反復発作性運動失調症の実態把握調査”との連携により、本邦でのEA例の探索と遺伝子解析の体制構築をすすめたことで、EA疑い症例に対する遺伝子解析依頼は、今年度の総数で10家系となった。
本年度の特筆すべき成果として、遺伝子解析までされた本邦初のEA1家系を見出した。また、EAと臨床診断された10家系について、次世代シークエンサーによる解析を進めており、概ね順調に進捗している。新たな症例の蓄積で判明したこととして、表現型と遺伝子変化が既報とは合わない特殊な例が比較的多く、その確定診断に十分な検討を要する点である。新たに判明した遺伝子変化の病原性について検証するために、機能解析のための準備を進めている。

今後の研究の推進方策

Cut open voltage clamp(COVC)法のAmplifier供給の問題については、早期購入取得の可能性を模索した結果、2020年夏を目途となりかけたが、社会情勢(世界的な新型コロナウィルス感染蔓延)の影響で、予定遂行が不確定となりつつある。また、COVCの変法について、NIHのサポートを受けた研究室が開発している情報があり、連絡を取り始めている。いずれにしても時間がかかる場合には研究の進捗を鑑みて、既に実験系を構築している国内外の研究室との共同研究も進めている。今後も引き続き遺伝子解析の体制構築が重要であると考えられ、その整備を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

計測方法として計画しているCut open voltage clamp法に必要なAmplifierを購入予定であったが、供給元のDagan社の移転等の理由で、作年度内の購入が難しい旨が、判明した。その代替案として、発明者であるBezanilla博士により新たに開発されているAmplifierの取得の手続きを進め、2020年夏にも実現の見通しであったが、社会情勢の問題で実現性が不確定になりつつある。また、COVCの変法について、NIHのサポートを受けた研究室が開発している情報があり、連絡を取り始めている。早期購入の方向で情報収集・問い合わせを続けるが、進捗状況によっては、既に実験系を確立している国内外の研究者との共同研究の可能性を進めたい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] EF hand‐like motif mutations of Nav1.4 C‐terminus cause myotonic syndrome by impairing fast inactivation2020

    • 著者名/発表者名
      Horie Riho、Kubota Tomoya、Koh Jinsoo、Tanaka Rieko、Nakamura Yuichiro、Sasaki Ryogen、Ito Hidefumi、Takahashi Masanori P.
    • 雑誌名

      Muscle & Nerve

      巻: 61 ページ: 808~814

    • DOI

      10.1002/mus.26849

    • 査読あり
  • [学会発表] EF hand-like motif mutations of Nav1.4 C-terminus impair fast inactivation associated with myotonic syndrome2020

    • 著者名/発表者名
      Riho Horie, Tomoya Kubota, Jinsoo Koh, Rieko Tanaka, Yuichiro Nakamura, Ryogen Sasaki, Hidefumi Ito, Masanori P. Takahashi,
    • 学会等名
      64th Annual Meeting of the Biophysical Society
  • [学会発表] 日本における反復発作性運動失調症の臨床像について2019

    • 著者名/発表者名
      久保田智哉,高橋正紀,石川欽也,杉浦嘉泰,髙橋祐二、水澤英洋
    • 学会等名
      日本人類遺伝学会第64回大会
  • [学会発表] 先天性パラミオトニーにともなう3種のC端に位置する変異ナトリウムチャネルの機能解析2019

    • 著者名/発表者名
      堀江里歩、久保田智哉、高真守、田中里江子、中村優一郎、佐々木良元、伊東秀文、髙橋正紀
    • 学会等名
      第5回日本筋学会

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公開日: 2021-01-27  

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