研究課題
反復発作性運動失調症(episodic ataxia : EA)は、間欠的な運動失調発作を呈する希少疾患である。その殆どがEA2型(EA2)、ついでEA1型(EA1)が多いとされ、EA2は電位依存性カルシウムチャネルCav2.1をコードするCACNA1A遺伝子に、EA1は電位依存性カリウムチャネルKv1.1をコードするKCNA1遺伝子に変異を持つ常染色体優性遺伝の遺伝病であることが知られている。発作性に症状を呈する希少疾患であり、診断自体が困難であるため、疾患の自然暦、病態メカニズム、治療法が確立していない。そこで本研究では、同疾患の新規原因遺伝子変異の同定および病態メカニズム解明を目指した機能解析を計画し、研究を進めている。また、本邦でのEAの報告例自体が少ないため、平成29年度厚生労働省科学研究費“本邦における反復発作性運動失調症の実態把握調査”との連携により、本邦でのEA例の探索と遺伝子解析の体制構築をすすめている。本年度の特筆すべき成果として、EA疑いの未診断例を対象に次世代シークエンサーによる解析を行い、3症例(3家系)の確定診断例を見出した。新規確定例を含め、本邦におけるEAの診断状況について、英語論文にて発表準備中である。Cut open voltage clamp法については、早期に解析開始できるよう、製作者との連絡も密にとることで整備を進めてきたが、新型コロナウィルス感染蔓延の影響もあり、入手にまでは至らず、代替法による研究方法として、培養細胞を利用する手法の検討に取り組んでいる。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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