皮膚筋炎(dermatomyositis: DM)では筋微小血管のタイトジャンクション(TJ)の破綻が認められ,炎症性サイトカインなど筋線維にとって有害な液性因子のさらなる筋内鞘への流入を促進し,DMの病態を悪化させていると考えられる.過去2年間の研究で我々が樹立したヒト骨格筋ペリサイト株(HSMPCT)の培養上清がヒト骨格筋微小血管内皮細胞株(TSM15株)のバリア機能を高めることを実証したが,2020年度はさらにペリサイトが放出するどの液性因子がこの作用を及ぼすかにつき検討を行った.具体的にはヒト骨格筋ペリサイトから放出されるbFGFおよびGDNFがTSM15株のバリア機能を高めていることを明らかにした.また,近年活性化ビタミンDが血液脳関門(BBB)を構成する微小血管内皮細胞のバリア機能を高めると報告された.この研究に着想を得て,TSM15株に対する活性化ビタミンDの作用につき検討したところ,活性化ビタミンDによりTSM15のバリア機能が高まることを明らかにした.すなわち,活性化ビタミンDは骨格筋内鞘内の微小血管の破綻したTJを修復する可能性が示された.これらの知見は,骨格筋の筋内鞘内にある微小血管のタイトジャンクションが破綻している皮膚筋炎の新たな治療法開発へ発展する可能性を秘めている.
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