研究課題/領域番号 |
18K07530
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
重藤 寛史 九州大学, 医学研究院, 教授 (50335965)
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研究分担者 |
山下 謙一郎 九州大学, 医学研究院, 助教 (00596687)
上原 平 九州大学, 医学研究院, 助教 (30631585)
緒方 勝也 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 教授 (50380613)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | てんかん / 記憶障害 / 睡眠 |
研究実績の概要 |
標的記憶再活性化(targeted memory reactivation: TMR)は単語と音のペアを記憶させた状態で徐波睡眠時に音を聞かせた場合、覚醒後に記憶の再生を行うと、音を聞かせた課題の方が記憶される率が高いという現象である。徐波睡眠時の記憶固定化が音刺激により賦活されるためと推定されている。側頭葉てんかん患者は健常者にくらべ忘却の速度が早いという忘却促進現象(accelerated long-term forgetting: ALF)がみられる。我々は側頭葉患者では徐波睡眠時の記憶固定が障害されるためにALFを生じるのではないかという仮設をたて、TMRを用いて証明することを研究の目的とした。初年度はTMR実験のプロトコールを作成するために、記憶する単語と音に意味的なつながりがなく、かつ単語の親密度等に偏りがでないように記憶課題を作成した。また、徐波睡眠時に覚醒することなく聴取できる音圧、提示方法、環境を整えた。次年度は、健常者10名および側頭葉てんかん患者を対象にTMR実験を行った。具体的には17時に来院し、単語と音のペアを提示する記憶課題を行い、18時から睡眠開始。徐波睡眠が出現したところで音を提示。覚醒後に記憶課題を行って睡眠前の記憶数をt検定を用いて比較した。健常者10名と側頭葉患者3名の比較では、睡眠前の記憶成績に有意差は認めなかったが(p=0.783)、睡眠後では側頭葉てんかん患者で優位に記憶成績が低下していた(p=0.036)。最終年度では、新型コロナウィルス感染症の度重なる蔓延のため、夜間に数時間の拘束を要する実験を行うことが困難となったが、海馬のどの領域がTMRあるいはALFに関与しているかを検証するために機能的MRIを用いた撮像プロトコールを作成し、健常者10人において海馬CA1と前頭前野の結合の評価ができることを確認した。
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