研究課題
ALSは進行性に上位, 下位の運動ニューロンが障害を受け,数年のうちに呼吸不全に陥る難治性の神経変性疾患である. これまで同定されたALSを引き起こす原因遺伝子は,生化学的,細胞生物学的に共通性が見られる. すなわち1) RNA recognizing motif を持つRNA結合蛋白である. 2) prion-like domainを持ち凝集性が高い. 3) ストレス顆粒の構成分子である. 4)細胞質への局在異常を起こし封入体を形成する. 従来は,それぞれの遺伝子にALS変異を導入したcDNAを用いて研究されてきたが,その毒性は一定せず,再現性が乏しくは非効率的であり,新たな実験資材が求められていた. 本研究では、上記4つの特徴を持つアミノ酸配列を人工的に設計し、そのcDNAをマウスのROSA26遺伝子座へ導入することにより、人工ALSモデルマウスを作成、その分子機構を解析することを目的としている.本研究期間内にALS病態誘導人工遺伝子ノックインマウスラインは獲得できた。現在、計画繁殖を行っている. 本研究により、ALS病態誘導人工遺伝子が神経変性のトリガーとなることをin vivoで証明するとともに、新規治療戦略の確立、薬剤の評価への利用が期待できる.一方、すでに我々が確立しているALSモデルマウス(△NLS-FUS tg)の解析も進めた。本マウスより、前頭葉、海馬、脊髄のRNA seq.を行い変動する遺伝子を網羅的に解析した. 本マウスでは多岐にわたるスプライシングの変化が初期より認められるとともに、シナプス可塑性に必要なSemaphorin 3Gが本マウスで発現亢進していることを見出した. Semaphorin 3Gはバイオマーカーへの応用や治療ターゲットにつながることが期待される.
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