研究課題/領域番号 |
18K07537
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
相澤 仁志 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (10292103)
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研究分担者 |
郭 伸 東京医科大学, 医学部, 特任教授 (40160981)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / ADAR2 / nuclear isomerase Pin1 / importin-α4 |
研究実績の概要 |
1.孤発性筋萎性側索硬化症(ALS)の脊髄運動ニューロン死にはAMPA受容体を介したCa2+の過剰な流入が関与している.AMPA受容体を介したCa2+流入はAMPA受容体サブユニットであるGluR2のQ/R部位の編集酵素adenosine deaminase acting on RNA2(ADAR2)の活性低下による.本年度、ALS脊髄運動ニューロンにおいてADAR2を制御するnuclear isomerase Pin1の細胞質内発現が増加していること明らかにした.また、ADAR2核内輸送に関与するimportin-α4(KPNA3)の核膜での発現が低下していることを明らかにした。同様の変化が孤発性ALSの病態モデルであるAR2マウスでも見られることを確認した。AR2マウスのmatingが遅れたためwestern blot analysisに関しては今後行う予定。Matingは2019年4月の時点で成功している. 2.Pin1およびimportin-α4のADAR2に及ぼす影響を検討するためのADAR2活性測定系を、ADAR2によるA-to-I編集率を測定するために、exon11のQ/R部位を含むGluR2 mini-gene(pre-GluR2)をpTRE-Tight Vectorを用いてTet-on-Hela cell (Clontech)にtransfect したHeLa細胞(TetHeLaG2m細胞)で確立した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に進展し、ALSにおけるPin1およびimportin-α4の発現に関するデータを取得した。また、ADAR2活性測定培養細胞系についても確立できた。ALSの病態モデルマウス(AR2)を用いたwestern blot analysisを現在行なっている.
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今後の研究の推進方策 |
1.AR2マウスの脊髄前角のサンプリングを行いwestern blot analysisによりPin1の発現の増加を確認する. 2.Pin1阻害およびPin1過剰発現によるADAR2活性への影響 Pin1阻害薬およびsiRNAによりADAR2活性への影響を検討する.また、Pin1の過剰発現によるADAR2活性への影響を検討する.ADAR2酵素活性の測定はTetHeLaG2m細胞を用いRNAを抽出(RNAeasy Mini Kit: QIAGEN #74104).遺伝子特異的なプライマーを用いたRT-PCR(Superscript TMII)によりcDNAを合成した後、Nested PCRを用いてGluR2 Q/R部位を含む領域を増幅する.増幅したPCR産物を制限酵素であるBbVⅠによる酵素処理を行なった場合、未編集型のGluR2では編集型GluR2では出現しない切断断片が出現する.2100Bioanalyzer(Agilent Technologies)により泳動後のバンドを定量し(B)、編集率(ADAR2活性)を算出する、切断断片の濃度比からGluR2 Q/R部位のRNA編集率を算出する.ADAR2活性を増加させる因子はALSの治療ターゲットとなる可能性がある.
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次年度使用額が生じた理由 |
AR2マウスの研究に関する費用が次年度に持ち越したため.
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