研究課題
(1)解析に用いるSBMAモデル細胞の作製:筋収縮を確認できたヒト骨格筋細胞であるHu5/KD3を用いて、AR24Q(正常型)または AR55Q, AR97Q(変異型)を定常発現するヒト骨格筋細胞株を作成し、ウマ血清存在下で筋管を誘導し、導入した変異ARの発現と凝集体形成、筋収縮能の変化を解析した結果、一部の表現型を捉えることに成功した。(2)内在性伸長ポリグルタミン鎖の可視化のための新規プローブを作成中。正常CAGリピート数を持つtruncate AR24QとEmGFPを結合させたタンパク質(tAR24Q-EmGFP)で、全長ARの凝集体形成を確認済み。しかし、毒性が懸念されるため、より低毒性のプローブを作成し、その特性解析を進めている。(3)疾患特異的iPS細胞を使用した研究:iPS細胞から運動ニューロンの成熟を促進する方法を確立し、それによってSBMAの表現型を再現することに成功した。また、iPS細胞から骨格筋を簡単かつ迅速に分化誘導する方法も確立した。さらに、この培養法を使用して、iPS細胞由来の骨格筋を三次元培養し、筋収縮を実現した。現在は、成熟促進法の評価および疾患特異的iPS細胞由来骨格筋の表現型解析を進めている。このような疾患特異的iPS細胞から誘導した運動ニューロンや骨格筋は、開発したプローブの評価と最適化に活用できると考えられる。
2: おおむね順調に進展している
疾患特異的iPS細胞を用いた解析では、iPS細胞由来骨格筋の簡便、かつ迅速な分化誘導法を確立した。成熟が不十分であると考えられたため、成熟促進法の検討を進めた結果、成熟を促進するいくつかの因子を同定した。これにより、より解析に適した疾患モデルの作成が可能になると考えられる。これらの解析と同時に、より効率的に凝集体を可視化し得るプローブの作成を進めている。
iPS細胞を用いて疾患モデルを作成し、作成したプローブの評価を行っていく予定である。
効率的な研究費の使用により、次年度使用額が生じた。翌年度分と合わせて、実験試薬や実験器具等の消耗品の購入等にあてる予定である。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 2件)
Journal of Neuroscience
巻: 42 ページ: 8881-8896
10.1523/JNEUROSCI.0455-22.2022
生体の科学
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