研究実績の概要 |
2022年度は「抗ミトコンドリア抗体陽性筋炎における心臓合併症および拘束性換気障害に関する質問紙を用いた全国調査」の単施設非介入研究において、過去10年に日本神経学会認定施設811施設で経験されたAMA筋炎85症例の臨床情報をデータベース化し、集計を行った。筋炎再発、緊急入院・急変、初回治療での筋力改善なし、心臓、呼吸デバイス導入、死亡をアウトカムし、これらと関連のある臨床的変数について、単変量解析及び多変量解析で検討した。単変量解析では、緊急入院・急変に対して心エコー異常(Odds ratio (OR) 5.43, p=0.033)、拘束性換気障害(OR 3.70, p=0.018)、心臓デバイス導入に対して心エコー異常所見(OR 8.00, p=0.009)、治療開始前期間(OR 2.99, p=0.032)、「呼吸器デバイス導入」に対して血清CK高値(OR0.26,p=0.021)が有意な関連を示した。多変量解析では再発に対して、治療期間で調整したもとで拘束性換気障害(aOR(調整済みオッズ比) 3.01, p=0.047)が、緊急入院・急変に対して、心エコー異常所見、筋生検での炎症性変化で調整したもとで拘束性換気障害(aOR 3.78, p=0.038)が有意な関連を示した。また、プロテオブリッジ社に提出した、心筋症を有する抗ミトコンドリア抗体陽性3症例の血清では、心筋症に関連した自己抗体として知られている以下の抗体は3例とも陰性であった(β1アドレナリン受容体、Caチャネル、Carnitin, Desmin, Dehydrolipoaide dehydrogenase, Hsp60 hsp70, lainin、myolemma, myosin, NADD, pyruvate kinase, トロポニン I / T, UCR, Vimentinに対する自己抗体)。
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