研究課題/領域番号 |
18K07543
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
島田 斉 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 脳機能イメージング研究部, 主幹研究員(定常) (10422239)
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研究分担者 |
平野 成樹 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (60375756)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 認知症 / PET / 混合病理 / タウ / アミロイド / 多様性 / 病態基盤 / 予後予測 |
研究実績の概要 |
高齢者に多い認知症患者の脳内には、複数の原因疾患に関係する病的変化が併存した混合病理を認めることが多く、その臨床症状・治療反応性・予後は多様である。しかし現在用いられている認知症の臨床診断基準は原因疾患が単一であることを仮定しており、混合病理を呈する認知症患者の適切な診断・治療に関する検討は少ない。我々は今までに認知症患者の脳内にみられる異常蓄積タンパクを可視化する技術を用いて、各種認知症における神経障害や臨床病態との関連を明らかにしてきた。本研究では、脳内異常蓄積タンパクの可視化技術を応用し、認知症患者における脳病理の多様性と治療反応性ならびに予後との関連を明らかにする。本研究により混合病理を呈する認知症患者の診断・治療法が確立し、認知症臨床診断水準の向上による根本治療薬開発促進が期待される。 我々は2018年度に引き続き、2019年度もアルツハイマー病(AD)、非AD性認知症、軽度認知機能障害、健常者を対象に、PETによる脳内異常蓄積タンパク(アミロイドおよびタウ病変)の評価(一部症例では脳糖代謝評価)およびMRI検査(形態学的評価ならびに機能障害の評価)、臨床神経学的評価、認知機能評価を行い、PETの動態解析などを行った。 同年中に得られたデータの中間解析結果から、非AD性認知症の中の進行性核上性麻痺や大脳皮質基底核症候群において、タウ病理の分布や蓄積量の多様性が臨床症候に関連し、さらにアミロイド病理の重畳がタウ病理や臨床症状を修飾し得る可能性を示唆する結果を得た。これらの成果について、一部学会発表を行うとともに、論文投稿を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画時点で想定した以上に順調に被検者募集、検査、データ解析が進んでいる。これまでの中間解析においても、すでに当初の目的の一つである「脳内病理の分布・程度と、脳循環代謝・脳萎縮・各種臨床症状・認知機能検査等との関連の異同」に関して、既述の新規知見を確認し、成果発表と論文投稿を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はさらに検査症例数を増やし、脳病理の多様性と臨床症状・経過との関連や、各疾患における解析についての検討を行いながら、これまでに得られた新規知見に関する成果発表と論文投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの流行により、年度末に予定をしていた一部の検査が次年度に延期することを余儀なくされたため、当該検査実施のために確保していた予算を次年度へ繰り越す必要が生じたため。
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