研究課題
精神病性障害の発症危険群(at-risk mental state; ARMS)の基準を満たす症例および初回エピソードの統合失調症患者を対象に脳磁気共鳴画像検査、T&Tオルファクトメーターを用いた嗅覚機能検査、および事象関連電位といった生物学的検査に加え、症状評価、社会機能評価、認知機能評価等を行い症例蓄積を継続している。これらの症例の臨床経過は専門外来においてフォローしており、定期的に症状や認知機能などを評価している。また今年度は主にARMS症例および統合失調症患者にみられる脳形態特徴が認知機能や社会機能にどのような影響を与えるかを横断的に検討した。その結果、胎生期の神経発達の指標とされる眼窩前頭皮質の粗大な脳溝脳回パターンがARMS群や初回エピソード統合失調症群の認知機能および社会機能と関連することを見い出した。またストレス指標と考えられる下垂体体積増大の程度が統合失調症群における認知機能低下(特にワーキングメモリー)と有意に関連することを見い出した。
2: おおむね順調に進展している
順調に症例蓄積を継続すると共に、生物学的指標と臨床指標の関連を横断的に検討できている。今年度は特に脳形態特徴についての解析を進めることができた。嗅覚機能についても、ARMS群や統合失調症群において症状の重症度や認知機能と関連することを既に見い出している(本研究計画の開始前に既に論文として公表)。一方、事象関連電位についてはデータ蓄積自体は順調であるが、解析は若干遅れている。
脳形態の進行性変化の評価および予後指標の評価のためには、対象者をいかに確実に臨床的にフォローアップするかが重要となる。附属病院における専門外来との連携を緊密に保ちながら確実なデータ収集に努めたい。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Psychiatry Research: Neuroimaging
巻: 283 ページ: 92~95
10.1016/j.pscychresns.2018.12.002
Frontiers in Psychiatry
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