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2019 年度 実施状況報告書

Glyoxalase1遺伝子多型に基づく統合失調症の病態解明と新規治療薬の創出

研究課題

研究課題/領域番号 18K07551
研究機関金沢大学

研究代表者

原島 愛  金沢大学, 医学系, 助教 (50705522)

研究分担者 棟居 聖一  金沢大学, 医学系, 助教 (10399040)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード転写調節
研究実績の概要

毒性の強いメチルグリオキサールの解毒酵素であるGlyoxalase1(GLO1)の酵素活性は、統合失調症の病態に関わる。これまでの検討でGLO1のプロモーター領域内のホモポリマー配列に少なくとも8種類の遺伝子多型を見出した。そのホモポリマー遺伝子多型の転写調節の違いを解析し、高い転写活性能を持つホモポリマー遺伝子多型を見出した。統合失調症患者、その対照となる健常者検体を用いてこのGLO1ホモポリマー遺伝子多型領域における遺伝子解析を行った結果、新たな遺伝子変異を見出した。この新規遺伝子変異はGLO1の転写活性に影響を及ぼした。さらに、健常者のiPS細胞が神経細胞へ分化する過程では、ホモポリマー遺伝子多型の細胞ごとの割合が変化することが分かった。統合失調症患者から作製されたiPS細胞を用いて細胞分化を誘導すると、統合失調症患者と対照となる健常者のホモポリマー遺伝子多型の変化率は異なっており、さらに統合失調症患者でみられた新規遺伝子変異が出現することが分かった。
以上、統合失調症患者のGLO1プロモーターのホモポリマー遺伝子多型と新規の遺伝子変異は統合失調症特異的なものであり、この遺伝子変異に着目し解析を行うことで、新たな視点から統合失調症の病態形成メカニズムを明らかにできる可能性がある。今後は、GLO1プロモーターのホモポリマー遺伝子多型領域に注目し、統合失調症の病態の進展・重症度についての検討を行う予定である。また、原子間力顕微鏡(AFM)を用いてクロマチン構造変換とGLO1転写発現調節機構、ホモポリマー遺伝子多型の新規遺伝子変異がGLO1の転写発現調節に与える影響の可視化についての検討を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

統合失調症患者と対照となる健常者より作製したiPS細胞を培養で神経細胞へ分化させる過程で、新たなGLO1プロモーターのホモポリマー遺伝子多型の変化と新規遺伝子変異の存在を統合失調症患者において発見した。このことは、統合失調症患者の病態形成に関与している可能性が高いと考えられた。
以上より、研究の進歩状況はおおむね順調と判断した。今後、GLO1プロモーターのホモポリマー遺伝子多型領域に注目し、さらに研究を推進し、統合失調症患者の病態形成メカニズムの解明を目指したい。

今後の研究の推進方策

今後は、GLO1プロモーターのホモポリマー遺伝子多型領域に注目し、統合失調症の進展・重症度との関連、統合失調症患者の病態メカニズムの解明を行う予定である。また、原子間力顕微鏡(AFM)を用いてクロマチン構造変換とGLO1転写発現調節機構、さらには、新規遺伝子変異のGLO1転写発現調節機構へ与える影響の可視化ついての検討を行う予定である。
統合失調症のこれまで不明であった病態形成の分子メカニズムをGLO1プロモーターに着目することで、これまでにない新たな視点から解明できると考えている。今後は、GLO1プロモーターのホモポリマー遺伝子多型による転写発現調節という新しい分子基盤に基づいた精神疾患治療薬の開発を目指す。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Clonal hematopoiesis by SLIT1-mutated hematopoietic stem cells due to a breakdown of the autocrine loop involving Slit1 in acquired aplastic anemia.2019

    • 著者名/発表者名
      Hosokawa K, Mizumaki H, Elbadry M, Saito C, Espinoza JL, An DTT, Katagiri T, Harashima A, Kikuchi A, Kanai A, Matsui H, Inaba T, Taniwaki M, Yamamoto Y, Nakao S.
    • 雑誌名

      Leukemia

      巻: 33 ページ: 2732-2766

    • DOI

      10.1038/s41375-019-0510-0

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Neuroprotective effects of endogenous secretory receptor for advanced glycation end-products in brain ischemia.2019

    • 著者名/発表者名
      Shimizu Y, Harashima A, Munesue S, Oishi M, Hattori T, Hori O, Kitao Y, Yamamoto H, Leerach N, Nakada M, Yamamoto Y, Hayashi Y.
    • 雑誌名

      Aging Dis

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Monitoring of heat shock response and phenotypic changes in hepatocellular carcinoma after heat treatment.2019

    • 著者名/発表者名
      Zaimoku R, Miyashita T, Tajima H, Takamura H, Harashima A, Munesue S, Yamamoto Y, Ninomiya I, Fushida S, Harada K.
    • 雑誌名

      Anticancer Res

      巻: 39 ページ: 5393-5401

    • DOI

      10.21873/anticanres.13733.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Protective role of endogenous secretory RAGE against contact hypersensitivity in mouse ear skin.2019

    • 著者名/発表者名
      Sagara A, Harashima A, Munesue S, Kimura K, Leerach N, Oshima Y, Kinoshita Y, Sakai N, Kaneko S, Wada T, Tsuneyama K, Yamamoto H, Yamamoto Y.
    • 雑誌名

      Glycative Stress Res

      巻: 6 ページ: 270-277

    • DOI

      N/A

    • 査読あり
  • [雑誌論文] CD38, CD157 and RAGE as molecular determinants for social behavior.2019

    • 著者名/発表者名
      Higashida H, Hashii M, Tanaka Y, Matsukawa S, Higuchi Y, Gabata R, Tsubomoto M, Seishima N, Teramachi M, Kamijima T, Hattori T, Hori O, Tsuji C, Cherepanov S, Shabalova A, Gerasimenko M, Minami K, Yokoyama S, Munesue S, Harashima A, Yamamoto Y, Salmina A, Lopatina O.
    • 雑誌名

      Cells

      巻: 9 ページ: E62

    • DOI

      10.3390/cells9010062.

    • 査読あり
  • [学会発表] 細胞内メチルグリオキサールの可視化解析2019

    • 著者名/発表者名
      引地 俊文, 木村 久美, 棟居 聖一, 原島 愛, Nontaphat Leerach, 大島 由, 木下 結衣, 松原 秀憲, 土屋 弘行, 山本 靖彦
    • 学会等名
      第29回日本メイラード学会年会
  • [学会発表] 原子間力顕微鏡を用いたグリケーションの可視化への挑戦2019

    • 著者名/発表者名
      木下結衣、棟居聖一、木村久美、原島愛、Nontaphat Leerach、大島由、古寺哲幸、山本靖彦
    • 学会等名
      第29回日本メイラード学会年会

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公開日: 2021-01-27  

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