研究課題
毒性の強いメチルグリオキザールの解毒酵素であるGlyoxalase1と統合失調症の関連は、これまで示唆されていたが、詳しいことは未だ不明である。研究代表者のこれまでの検討でGlyoxalase1のプロモーター領域内のホモポリマー配列に少なくとも8種類の遺伝子多型を見出した。この8種類のホモポリマー遺伝子多型の転写調節の違いを検討したところ、他のホモポリマー遺伝子多型に比べて著しく高い転写活性を持つホモポリマー遺伝子多型を見出した。研究代表者らは、Glyoxalase1のホモポリマー当該遺伝子多型と統合失調症の発症・進展の関連について検討を行った。統合失調症患者80検体、健常者50検体を用いてホモポリマー当該遺伝子多型の解析を行った結果、統合失調症患者の検体から新たな遺伝子変異を見出した。この遺伝子変異はGlyoxalase1の転写活性に影響を及ぼすことが解析より明らかになった。加えて、既知のGLO1遺伝子変異とホモポリマー当該遺伝子多型には、関連があることも明らかになった。また、健常者のiPS細胞が神経細胞へ分化する過程では、ホモポリマー当該遺伝子多型とホモポリマー遺伝子多型の割合が変化することが分かった。統合失調症患者から作成されたiPS細胞を神経細胞へ分化誘導すると、統合失調症患者と対照となる健常者のホモポリマー当該遺伝子多型の変化率は異なっており、さらに統合失調症患者で見出された新規遺伝子変異が出現することも分かった。以上、見出された新規遺伝子変異は統合失調症特異的なものであり、この遺伝子変異に着目し解析を行うことで、新たな視点から統合失調症の病態形成メカニズムを明らかにできる可能性がある。
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