研究課題/領域番号 |
18K07555
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
梁瀬 まや 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (30760780)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 窃盗 / 摂食障害 / 精神鑑定 / 司法精神医学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、摂食障害患者にみられる窃盗行為について、半構造化面接および質問紙調査による質的量的調査によってその心理社会的背景を明らかにするとともに、司法精神医学的評価や処遇のあり方について、文献調査および視察を中心とした海外調査により、問題点を明らかにし、比較法的視点も加味した考察を深めることにある。 2018年度は、和歌山刑務所において質問紙および面接による質的量的調査研究を実施したほか、法律実務家とともにスウェーデンを視察し、矯正施設及び司法精神病院における触法精神障害者の治療および処遇について、情報収集をおこなった。また、スウェーデン矯正保護庁職員も交えた実務家・研究者と意見交換を行ない、精神鑑定から処遇・治療にわたる過程について学際的視点から議論を交わし、考察を深めた。これらの一部成果は2018年11月、第22回日本摂食障害学会学術集会シンポジウムにおいて「摂食障害の窃盗に関する司法精神医学的考察」と題して研究代表者が発表を行なった。その内容は論文化し、現在投稿準備中である。さらに、2019年6月には第15回日本司法精神医学会大会において「スウェーデン司法精神医療視察報告」として一部成果を研究代表者が発表予定である。 2019年度は刑務所における調査を継続する他、法学者・矯正施設医師等とともにオランダへ赴き、触法精神障害者治療施設・摂食障害専門治療施設を視察し、現地大学に於いて研究者等との学際的交流を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
概ね予定どおりの進行ではある。但し研究代表者が2018年4月に東京へ赴任したことや、臨床業務の多忙さにより、調査回数を当初予定より減らさざるを得なかった。 また、海外視察においては、摂食障害治療専門施設の視察も当初予定し、最後まで交渉を続けたものの、叶わなかった。ただし、視察許可を得たヒンズバーグ女子刑務所やヘリックス司法精神病院、カロリンスカ研究所において矯正処遇官・医師・研究者から情報収集を行い、意見交換を重ね、摂食障害窃盗を含めた触法精神障害者の精神鑑定・処遇・治療について学際的視点から議論を交わすことができた。 今後は、2019年4月に研究代表者が刑務所所在地である和歌山県へ赴任し、かつ研究職を兼任することから、より柔軟なフィールドワークが可能となる見込みである。これまで以上に研究を推進できることが期待でき、データ収集や解析、文献的考察を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度の成果の一端を論文化し、現在投稿手続中である. 2019年度は刑務所調査の継続に加え、海外調査としてオランダ渡航を予定しており、法学者・矯正施設医師らとともに、触法精神障害者治療施設、摂食障害専門治療施設の視察、ライデン大学法学部における法学者等との意見交換会を予定している。 さらに、研究分担者の追加を検討しており、調査・研究の議論を深め、研究を発展的に推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
転勤や臨床業務の多忙が重なり、研究計画が当初予定より遅れ、当初予定していたほどの研究費を使用できなかった。また、旅費の負担増を鑑み、物品費等への支出を控え、私費でまかなった。 今後は研究実施計画を実現可能なスケジュールで組み直し、使用する。
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