研究課題/領域番号 |
18K07555
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
梁瀬 まや 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (30760780)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 摂食障害 / 窃盗 / 万引き / 精神鑑定 / 矯正施設 / 司法精神医学 / 海外視察 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、摂食障害患者にみられる窃盗行為について、質問紙調査および半構造化面接による質的量的調査によってその心理社会的背景を明らかにし、司法精神医学的評価や処遇のあり方について、文献調査や海外視察をはじめとした実地調査により問題点を明らかにし、比較法的視点も加味して考察を深めることにある。 2019年度は、これまでの文献調査や実地調査を踏まえ、2019年10月、米国司法精神医学学会(AAPL, American Academy of Psychiatry and the Law)第50回学術集会において「Forensic Evaluation of Theft(Shoplifting ) with Eating Disorder」と題して研究代表者が発表を行なった。その内容は、現在論文化し、投稿準備中である。 その他、2019年度は、和歌山刑務所において質問紙および面接による調査研究について職員らと議論・調査をを重ねたほか、9月には研究協力者である法学者(香川大学法学部・平野美紀氏)、矯正施設医師とともにオランダへ渡航し、社会治療施設、精神鑑定施設、矯正施設、摂食障害専門病院、検察庁、ライデン大学法学部等を視察した。現地では、精神科医、心理学者、検察官や裁判官といった法律実務家、処遇官、法学者らから触法精神障害者や摂食障害患者の治療および処遇に関して情報を収集し、意見交換を行なった。これにより、精神鑑定から処遇・治療にわたる過程について学際的視点から議論を交わし、考察を深めることができた。 これらの一部成果は、2020年11月開催予定の第16回日本司法精神医学会大会において、研究代表者および研究協力者が発表予定である。 2020年度は刑務所における調査を継続するほか、文献調査、学術研究会等参加による情報収集等を継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね予定どおりの進行ではある。但し、米国司法精神医療視察を検討していたが、コロナウイルス感染症の世界的流行により、断念した。国内においても行動制限はあるものの、今後は可能な範囲でフィールドワークを行い、データ収集や解析、文献的考察によって研究を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度の成果の一端を論文化し、現在投稿手続中である. 2020年度は刑務所調査の継続に加え、研究協力者らと学際的議論を深め、研究を発展的に推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画が当初予定より遅れ、データ解析に使用する物品の購入を次年度以降に見送った。 今後は研究実施計画を実現可能なスケジュールで組み直し、使用する。
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