研究実績の概要 |
嗜銀顆粒病(AGD)26例,進行性核上性麻痺(PSP)10例,アルツハイマー病(AD)20例,その他に皮質基底核変性症,Pick病などの様々なタウオパチー,加えて多系統萎縮症,TDP43陽性封入体を有する前頭側頭葉変性症,筋萎縮性側索硬化症,FUS陽性封入体を有する前頭側頭葉変性症,ハンチントン病,歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症等の非タウオパチーとしての変性疾患,計105例の前頭葉,尾状核,被殻,扁桃核におけるタウ陽性(AT8陽性)granular/fuzzy astrocyteの半定量評価した.更に非タウオパチー疾患例の中でPrimary age-related tauopathy (PART)を有している症例をPART群として別に解析した結果からGFAの分布の特徴をまとめた.AGD, PSP, AD, PARTでGFAの量を統計的に比較した.疾患ごとにGFAの細かい形態的特徴が異なる事も見出した.全105例を対象に、病理学的因子,死亡時年齢などの基本的な臨床的因子とGFAの出現の関係を単変量解析で検討したのち,各部位におけるGFAの出現に関係する因子を多変量解析で検討した.死亡時年齢,AD病理,PSPの有無,AGDの有無を独立変数としたところ、全ての部位においてPSPとAGDはGFA出現に関係し,そのオッズ比は前頭葉,尾状核,被殻ではPSPの方がAGDより大きく,扁桃核においてのみAGDの方がPSPより大きかった.AGD例ではAGDステージの進行とともに各種の抗タウ抗体陽性のGFAが増加し,AGDステージIIからGallyas陽性の嗜銀性アストロサイト病変が出現し,AGDステージIIIからp62陽性のアストロサイト病変が出現する事が明らかとなった.これらの結果を英文誌に投稿して受理された.
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