研究課題/領域番号 |
18K07564
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
伊賀 淳一 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (70363140)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アルツハイマー型認知症 / 老年期うつ病 / 血液 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
アルツハイマー型認知症の血液バイオマーカー研究を継続し、2018年度は以下の論文をcorresponding authorとして発表した。 グレリンは食欲だけでなく認知機能にも影響していることから、グレリンとその関連遺伝子についてアルツハイマー型認知症患者の血中濃度と白血球遺伝子発現を解析した。その結果、アルツハイマー型認知症では血漿中のグレリン濃度が有意に増加しており、GHS-R1bとMBOAT4の遺伝子発現も有意に増加していた。またMBOAT4のプロモーター領域のDNAメチル化率も有意に低下していた (Yoshino Y et al. J Psychiatr Res 2018)。アルツハイマー型認知症の病態にグレリンが関連していることが示唆された。一方、統合失調症でも検討した結果、GHS-R1aは統合失調症で有意に減少していたが、GHS-R1bとMBOAT4は有意に増加していた。統合失調症においてもグレリン系が病態に関与している可能性が示唆された(Nakata S et al. Psychiatry Res 2018)。また炎症に関与するTREM1の白血球遺伝子発現をアルツハイマー型認知症で解析した結果、有意に増加しており、抑うつ症状と有意に相関していた。TREM1遺伝子のプロモーター領域のDNAメチル化率も有意に低下していた (Sao T et al. J Alzheimers Dis 2018)。アルツハイマー型認知症の病態に炎症が関与しており、バイオマーカーとなる可能性が示唆された。 基礎研究では3xTg ADマウスと対照マウスは無事52週飼育が終了して、バイオマーカー検索のためのマイクロアレイ解析に取り掛かっている。現時点でマウス血液と海馬に共通して発現が変化している遺伝子をいくつか絞り込めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト血液を使ったバイオマーカー研究とモデルマウスを使ったバイオマーカー研究ともに当初の予定通り遂行できている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きアルツハイマー型認知症と老年期うつ病の血液バイオマーカーの検索を行う。 3xTg ADマウスの解析結果に基づき、ヒト血液における妥当性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に遺伝子発現解析を行う予定であり、プライマーなどの購入費として使用する予定である。
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