研究課題/領域番号 |
18K07565
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小原 知之 九州大学, 医学研究院, 助教 (20623630)
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研究分担者 |
吉田 大悟 九州大学, 医学研究院, 助教 (10596828)
神庭 重信 九州大学, 医学研究院, 教授 (50195187) [辞退]
二宮 利治 九州大学, 医学研究院, 教授 (30571765)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 睡眠時間 / sTREM2 / 認知症発症 / バイオマーカー / 有病率 |
研究実績の概要 |
1)睡眠時間と認知症:認知症のない60歳以上の久山町高齢者1,517人を10年間前向きに追跡して睡眠時間、および睡眠薬の服用が認知症発症に与える影響を検討した結果、認知症の発症リスク(多変量調整)は5時間以上7時間未満の群に比べ短時間睡眠群(5時間未満)、および長時間睡眠群(10時間以上)でそれぞれ2.6倍、2.2倍有意に上昇した。また、睡眠薬服用群は5-7時間未満睡眠の睡眠薬非服用群に比べ、認知症の発症リスク(多変量調整)が1.7倍有意に高かった。(J Am Geriatr Soc 2018;66:1911-1918)。 2)血清sTREM2と認知症:sTREM2は脳内炎症におけるミクログリア活性化の指標であると報告されている。認知症のない60歳以上の久山町高齢者1,349人において血清sTREM2を測定し、この集団を10年間前向きに追跡して血清sTREM2値と認知症発症の関係を検討した。その結果、血清sTREM2値の上昇は認知症発症の有意な危険因子だった。さらに、血清sTREM2値を既知の危険因子に追加することで認知症発症の予測能が改善するかを検証した。その結果、血清sTREM2値の追加によりNRI(net reclassification improvement)は 0.169(P=0.009)、IDI (integrated discrimination improvement)は0.004(P=0.045)と認知症発症の予測精度は有意に改善した。以上より、血清sTREM2の上昇は認知症発症の有意な危険因子であり、血清sTREM2値の測定は認知症の早期発見の有効な血液バイオマーカーであることが明らかとなった(Ann Neurol 2019;85:47-58)。 3)久山町在住の65歳以上の高齢住民を対象とした認知症の有病率調査を完了した。受診率は94.1%であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
認知症の有病率調査を完了できたうえ、認知症発症に関連する生活習慣因子とバイオマーカーを同定することが出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
2017-2018年に実施した認知症有病率調査の成績を整理して、近年における認知症有病率を明らかにするとともに、軽度認知障害から認知症に進行する危険因子・防御因子を探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を進捗させるための事務補佐員を雇用することが出来ず、人件費を使用することが出来なかったため。
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