研究課題/領域番号 |
18K07565
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小原 知之 九州大学, 医学研究院, 助教 (20623630)
|
研究分担者 |
吉田 大悟 九州大学, 医学研究院, 助教 (10596828)
神庭 重信 九州大学, 医学研究院, 教授 (50195187) [辞退]
二宮 利治 九州大学, 医学研究院, 教授 (30571765)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 血糖変動 / 海馬萎縮 / NT-proBNP / 認知症 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
1)血糖変動と海馬萎縮:血糖値の変動指標と海馬萎縮の関係を検討した研究はない。そこで、2012年に頭部MRI検診を施行した65歳以上の久山町住民1,278名の横断調査から、血糖変動の指標であるグリコアルブミン(GA)、HbA1c、およびGA/HbA1c比と海馬萎縮の関係を検討した。その結果、GAおよびGA/HbA1c比の上昇に伴い海馬容積は有意に低下した。糖尿病での層別解析では、糖尿病者だけでなく、非糖尿病者においても同様の有意な傾向が認められた。血糖値の変動が糖尿病の有無にかかわらず海馬萎縮をもたらすことを示唆する結果である。(J Diabetes Investig 2020 Jan 30, Epub ahead of print)。 2)血清NT-proBNPと認知症:無症候性心不全と認知症発症の関係は未だ不明な点が多い。そこで認知症のない60歳以上の久山町高齢者1,635人に無症候性の心機能低下のマーカーである血清NT-proBNPを測定し、この集団を10年間前向きに追跡して血清NT-proBNPと認知症発症の関連を検討した。その結果、血清NT-proBNP値の上昇は認知症発症の有意な危険因子だった。また、既知の危険因子に血清NT-proBNP値を組み合わせることにより、認知症発症の予測精度は有意に改善した(J Am Heart Assoc 2019;8:e011652) 3)追跡調査の成績から血清β-アラニン(Am J Epidemiol 2019; 188:1637-1645)、血清エライジン酸(Neurology 2019; 93: e2053-e2064)も認知症発症と密接に関与することを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
認知症発症に寄与する危険因子を新たに同定することが出来たため
|
今後の研究の推進方策 |
2017年に実施した認知症の有病率調査の成績を整理して、認知症者における介護保険事業の活用状況を明らかにするとともに、認知症発症の危険因子の探索を継続する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
おおよそ予定通りに使用できたが、人件費の見積もり誤差のため約5千円の繰越金が生じた。
|