研究実績の概要 |
1)地域高齢認知症者における介護保険認定の実態:福岡県久山町で2017年に実施した認知症の有病率調査を受診した2,202名(受診率:94.1%)の住民のうち、346名が認知症と診断された(粗有病率:15.7%)。認知症者のうち、69.7%が介護保険の認定を受けていた。要介護レベル別にみると、認知症者の56.4%が要介護1以上であった。認知症高齢者の日常生活自立度レベル別の検討では、認知症者の51.5%が自立度IIa異常と判定されていた。(Psychiatry Clin Neurosci 2021 [Epub ahead of print]) 2)脳部位別の灰白質萎縮と認知症発症:2012年の久山町健診で認知機能検査と頭部MRI検査を受けた認知症のない1,158人を5.0年間前向きに追跡し、VBM8で算出した脳部位別の灰白質容積の低下と認知症発症の関係を検討した。その結果、内側側頭葉、島、海馬、および偏桃体の灰白質容積の低下に伴い、認知症の発症リスクは有意に上昇した(全傾向性P< 0.05)。また、これら4つの認知症関連脳部位の萎縮数と認知症発症の間に有意な正の関係を認めた(傾向性P< 0.01)。内側側頭葉、島、海馬、および偏桃体の脳萎縮は認知症発症の有意な危険因子であった。(J Neurol Neurosurg Psychiatry, under review) 3)認知症のない久山町高齢住民の追跡研究の成績から、孤独感と認知症発症の間に密接な関連があることを明らかにした(J Gerontol B Psychol Sci Soc Sci 2020 [Epub ahead of print])。また、高齢者が生涯に認知症を発症する確率を算出したところ、男性では64.8%、女性では40.8%であった(Neurology 95(5): e508-e518, 2020)
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