研究課題/領域番号 |
18K07568
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
寺尾 岳 大分大学, 医学部, 教授 (80217413)
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研究分担者 |
塩月 一平 大分大学, 医学部, 客員研究員 (00444886)
石井 啓義 大分大学, 医学部, 准教授 (00555063)
秦野 浩司 大分大学, 医学部, 講師 (30516092)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 双極Ⅰ型障害 / 双極Ⅱ型障害 / 双極スペクトラム障害 / 生存曲線 / 気分安定薬 |
研究実績の概要 |
本研究の目的のひとつは、双極Ⅰ型障害とⅡ型障害の薬物反応性の違いを検討することにある。そのため、大分大学医学部附属病院精神科を2009年4月1日から2019年11月30日までの期間に初診した患者のうち、保険病名上、F30からF34, F38, F39に該当する患者のうち、当科への入院歴のある825名のうち、カルテ番号の若い方から300名を抽出してデータセットを作成した。これは、オプトアウト研究であり、大分大学医学部倫理委員会の承認を得て実施した。 方法は、それぞれの退院時をベースラインとして、その時点での投与薬剤を調べ、その後の経過を直近の受診まで調べた。なお、複数回入院を繰り返した患者は、「のべ人数」としてそれぞれの入院を同一患者における別個の入院として扱った。 対象は当初のべ300名であったが、このうち当科から他院に転院した20名、気分障害以外の診断を受けた64名、維持ECTを繰り返し受けた2名を除外した結果、のべ214名となった。なお双極Ⅰ型障害(BPⅠ)は明確に診断できるが、双極Ⅱ型障害に関してはいわゆる躁的因子を有する患者も含め双極スペクトラム障害(BPS)として広く扱った。診断の内訳は、BPⅠ34名、BPS65名、うつ病115名となった。次回再入院するまでの期間を解析した。 カプラン・マイヤーの生存分析の結果、BPⅠではリチウムあり群では平均1666日、リチウムなし群では1121日と寛解期間が約500日延びたが有意ではなかった。BPSやうつ病ではリチウムの効果は明らかでなかった。同様に、BPⅠではバルプロ酸あり群では平均1756日、バルプロ酸なし群では1292日とやはり寛解期間が約500日延びたが有意ではなかった。BPSやうつ病ではバルプロ酸の効果は明らかでなかった。ラモトリギンやカルバマゼピンは投与患者が少なかったので結果が出せなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究自体はおおむね順調に進んでいるが、残念ながら双極I型障害と双極Ⅱ型障害(双極スペクトラム障害)の経過や薬物反応性に、予想される有意差が見られていない状況である。明らかにラモトリギンやカルバマゼピンでは解析するには不十分の症例数であり、リチウムやバルプロ酸も数値的には大きな差異が出ているにもかかわらず有意差が出ていない。この理由としてはまだ症例数が少ないことが考えられ、これは未入力の500名前後のデータを加えることにより、何らかの有意差が出てくるものと期待される。
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今後の研究の推進方策 |
未入力の500名前後のデータを加えることにより再解析を行う。さらに、研究の目的全体が完了するように、論文作成など公表の準備を行う。
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