研究実績の概要 |
6週齢Wistar rat雄に尾静脈からfluorescein (FITC)-conjugated Affinipure Fab Fragment Goat Anti-mouse IgG (H+L)を1mg投与した。その後潅流を行い、脳を摘出した。IVISイメージングシステムを用いて、灌流後も脳に残存したFITC-IgGを測定した。その結果、電気けいれん刺激群(ECS)では、コントロールと比較して有意に蛍光が強く、FITC-IgGが多く残存することが見込まれた(p = 0.0271)。 次に6週齢のWistar rat 雄に麻酔の上で、ECS(100Hz, pulse width 0.5msec,duration 1sec, current 80mA)を行った。その後脳を摘出し、RNAシーケンスを行った。また、ECS後の長期的な形態学的な変化を確認するために、ECS11分後(直後)、5日後、30日後の脳を回収し、電子顕微鏡試料を作成した。ECS直後から、毛細血管周囲のアストロサイト終末足は腫大していた。ECS5日後には、アストロサイト終末足の腫大は一部改善していたが、一部は残存していた。ECS30日後には、コントロールとECS群で大きな違いを認めなかった。以上から、ECSで起こったアストロサイト終末足の変化は、1か月以内には正常化すると考えらえれた。RNSシーケンスの結果は現在分析中である。 以上の結果から、ECSにより、BBB透過性は変化し、IgGのような高分子であっても透過性が亢進することが示された。またECSにより起こる解剖学的な変化としてアストロサイト終末足の腫大化が観察されたが、ECS後30日にはコントロール群と変化を確認できない状態に回復していた。ECSにより安全に可逆的なBBB透過性コントロールを行うことが可能であることが示された。
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