研究実績の概要 |
昨年度の結果は、prostaglandin E2 (PGE2)が培養ミクログリアのcyclooxygenase (COX)-2の発現量を増加させることを示唆していた。本年度は、PGE2の作用機序を明らかとするために、PGE2の受容体のアゴニストとアンタゴニストを用いてRT-qPCR法により検討を行った。PGE2の受容体のアゴニストやアンタゴニストの処置時間は3時間で行い、用量は10-9 Mから10-5 Mまで検討した。PGE2合成に関する遺伝子として、COX-1, COX-2, mPGES-1、mPGES-2、cPGESについて検討した。 その結果、COX-1、cPGESに関しては、薬物処置がない場合でも培養ミクログリアにおいて発現が見られ、これらのmRNA発現量は、PGE2の受容体のアゴニストやアンタゴニスト処置による影響を受けなかった。mPGES-2に関しては、薬物処置がない場合でも培養ミクログリアにおいて発現が見られたが、このmRNA発現量はPGE2の受容体のアゴニストにより減少した。COX-2、mPGES-1に関しては、EP2受容体アゴニスト処置では10-8 Mから発現量の増加が見られた。また、EP2受容体アンタゴニストはPGE2によるCOX-2の発現量の増加を10-6 M以上で抑制した。その他のPGE2の受容体アゴニストやアンタゴニストは、10-6 MまではCOX-2の発現量に影響を与えることはなかった。 以上の結果から、EP2受容体活性化が培養ミクログリアのCOX-2、mPGES-1のmRNA発現量を増加させることが示唆された。
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