研究課題/領域番号 |
18K07575
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研究機関 | 吉備国際大学 |
研究代表者 |
森信 繁 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (30191042)
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研究分担者 |
淵上 学 広島大学, 病院(医), 講師 (40403571)
田尻 直輝 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (80782119)
津田 雅之 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 准教授 (90406182)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | BDNF / メチル化 / Tet1 / Dnmt3a / うつ病 |
研究実績の概要 |
神経培養細胞におけるBDNF遺伝子のプロモーターⅣ付近のDNAメチル化を操作するため、ヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)とエフェクタードメインの融合遺伝子と、guide RNA(gRNA)を発現するレンチウイルスベクターを作製した。まず、エフェクタードメインとしてTen-eleven translocation(Tet1)を用い、プロモーターⅣ上の11個のCpGをカバーする5つのgRNAと共に、17日齢のマウス胎児脳から単離した初代神経培養細胞に感染させた。感染2日後、細胞からRNAを抽出し、RT-PCRによりBDNF遺伝子の発現を調べたところ、gRNAを感染させないdCas9-Tet1のみのコントロールに比べて発現の増加がみられた。また、抗BDNF抗体を用いた細胞免疫染色やwestern blotにおいて、タンパク質レベルでの発現上昇も確認された。次に細胞から抽出したゲノムDNAを用いて、プロモーターⅣ上のDNAメチル化を解析した結果、メチル化レベルが有意に低下していることが明らかとなった。培養細胞において、レンチウイルスベクターを用いたdCas9-Tet1とgRNAの感染によって、BDNF遺伝子のメチル化状態を操作できることが分かった。加えて、DNAメチル化を亢進させるdCas9-Dnmt3aをもつレンチウイルスベクターを作製した。通常の培養条件では、プロモーターⅣのDNAメチル化レベルが低いNeuro-2A細胞にgRNAと共に感染させることで、BDNF遺伝子の発現の低下が観察された。タンパク質レベルの発現やDNAメチル化状態についても解析中である。 今後は、これら培養細胞で確認できたレンチウイルスベクターを、脳定位装置を用いてマウス脳内に投与し、BDNFの発現やDNAメチル化レベルを解析しながら、in vivoでの効果を調べていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までの実験から、以下の結果が得られているため。 1) 培養細胞を対象とした実験から、本技法を用いることでBDNF遺伝子プロモーターIVのメチル化制御(亢進及び低下)の操作が達成されている。 2) この操作によって、メチル化の変動に応じたBDNF mRNA発現やBDNF immunoreactivityの変動が、検証できている。
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今後の研究の推進方策 |
1) 培養細胞で用いたdCas-Tet1, dCas-Dnmt3a融合遺伝子を、マウスの内側前頭前野・前帯状回・海馬・側坐核、に投与して各部位でのBDNF遺伝子メチル化の人工的制御を行う。 2) その結果見られるマウスの行動変化を、強制水泳試験・Sucrose consumption test・Social interaction test・Elevated-plus maze・Set-sifting task・Locomotor activity test、を用いて評価する。 3) 行動解析結果をまとめて、脳局所のBDNF遺伝子のメチル化変動が、うつ病様行動の原因となっている事を検証する。
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