研究課題/領域番号 |
18K07576
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
吉村 玲児 産業医科大学, 医学部, 教授 (90248568)
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研究分担者 |
原田 大 産業医科大学, 医学部, 教授 (00241175)
井形 亮平 産業医科大学, 医学部, 助教 (00739477)
手銭 宏文 産業医科大学, 医学部, 助教 (00790982)
新開 隆弘 産業医科大学, 医学部, 准教授 (20352304)
掛田 伸吾 産業医科大学, 医学部, 講師 (30352313)
本間 雄一 産業医科大学, 医学部, 助教 (30620984)
興梠 征典 産業医科大学, 医学部, 教授 (60195691)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | うつ病 / 糖尿病 / IGF-1 / BDNF / コネクトーム / MHPG / HVA / MRI |
研究実績の概要 |
現在、うつ病患者の血液サンプルの取集と精神症状評価、並びに糖尿病合併の有無に関しての評価を行っている。進捗状況は順調である。予備研究として、糖尿病被合併うつ病未治療患者の血清中インターロイキン6(IL6)とカテコールアミン代謝産物(MHPG, HVA)濃度を測定して以下の結果を得た。1)血清IL6濃度はうつ病患者で健常者と比較して有意に高値。2)血清IL6濃度とハミルトンうつ病評価尺度(HAMD)得点は有意な相関を示した。(つまりうつ病が重症であるほど、血清IL6濃度が高値であった。3)血清MHPG濃度、血清HVA濃度はうつ病と健常者で差はなかった。4)血清MHPG濃度とHAMD得点には関連はなかった。5)血清HVA濃度とHAMD得点には関連はなかった。6)血清IL6濃度と血清MHPG濃度には関連はなかった。7)血清HIL6濃度と血清HVA濃度には関連はなかった。以上の結果より、糖尿病非合併うつ病患者では血清IL6濃度がそのstate biomarkerとなる可能性が示唆された。少なくとも糖尿病非合併うつ病ではIL6とノルアドレナリンならびにドパミン神経とに相互の関連は生じていなかった。また、他のサイトカインといくつかの神経栄養因子との関連についての解析も勧めている。さらには、うつ病患者のテンソル画像を用いたコネクトーム解析も計画通りに順調に進んでいる。うつ病の準備気質と考えられている神経症気質と脳内神経線維走行との関連を調べた予備研究では、この神経症気質が脳内の多くの部位や神経ネットワークが関与していることを明らかにした。以上の結果は国内および国際学会で発表した。今後はうつ病と糖尿病双方に関連する標的分子や脳内ネットワークの解析に着手していく予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
患者のエンロールも概ね順調に進んでいる。予備実験も概ね順調であるが、血清IGF-1分析方法の精度を改善する余地がある。
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今後の研究の推進方策 |
さらにうつ病患者のサンプリングに努力する。今年度は血清IGF1の予備的測定実験に着手する予定である。さらに、健常者を対象とした拡散テンソル画像に基づくMRIコネクトーム解析の予備的研究も行う。その成果を国内および国際学会で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
数種類の血液サンプル測定が予定どおり進まなかったこと。国内学会での発表に間に合わずに参加できなかった理由により次年度使用額が派生した。この余剰額は今年度のサンプル測定費用に充てる。
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