研究実績の概要 |
登録基準は初発かつ未服薬の統合失調症としたが、基準を満たす症例が少ないため、発症後3か月以内の早期精神病患者も含めることとした。現在までに11名の患者(男性4名、女性7名)から同意を得てデータの収集を行った。うち2名は縦断データを収集することができた。そのうち発達障害圏の3名、神経症圏の1名を除いた7名の統合失調症圏の患者(平均年齢; 39.1 ± 10.6, 男性5名)について、ベースライン時の終末糖化産物(advanced glycation end products; AGEs)を非侵襲的に測定し、健常群58名(平均年齢; 46.0 ± 7.2, 男性12名)と比較検討した。その結果、皮膚AGEsセンサー値が統合失調症圏で有意に上昇していた(統合失調症群; 0.55 ± 0.07 a.u., 健常群; 0.44 ± 0.05 a.u., p < .01)。通常、皮膚AGEs センサー値は年齢とともに上昇することが知られており、本結果は統合失調症群において発症早期からAGEsが上昇することを強く示唆している。また、現段階で2名の統合失調症患者で縦断追跡を完了している。うち1名は Positive and Negative Syndrome Scale (PANSS) で評価される精神症状が悪化(Baseline; 53点、6か月後; 63点)すると同時に皮膚AGEsセンサー値が上昇(Baseline; 0.40 a.u., 6か月後; 0.60 a.u.)しており、精神症状と皮膚AGEsの縦断的な関連が明らかになりつつある。今後は症例数を増加し、AGEsの変動を規定する要因の同定を目指す。
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