研究課題/領域番号 |
18K07582
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
荒井 由美子 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 長寿政策科学研究部, 部長 (00232033)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 不適切処遇 |
研究実績の概要 |
初年度は、T2時調査データのうち、家族介護者の不適切処遇部分のデータについてクリーニングを行い、横断データを確定させた。その後、このT2横断データとT1調査データをマッチングさせ、不適切処遇に係るTFCS縦断データセットを確定させた。次にT1データを用いて関連要因について検討することとした。家族介護者のうち、不適切処遇を行っていると回答した者(以下、不適切処遇あり群)が1599名であり、ないと回答した者(以下、不適切処遇なし群)が2410名であった(39.8%)。次に不適切処遇あり群となし群において、家族介護者の特性ならびに要介護者の特性をunivariate analysesを用いて比較した。さらに、当該解析において有意差がみられた要因間における相関係数を、Pearson's correlation analysesを用いて検討したところ、相関係数の0.3以上の関連性がみられた変数の組が複数存在した。その後の解析における多重共線性を回避するため、J-ZBI_8、ストレス解消、主観的健康状態、認知症高齢者の日常生活自立度、介護者年齢等の変数を除外することとした。その上で、不適切処遇の有無を従属変数とし、独立変数としては家族介護者の同別居、家族介護者のCES-D(The Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)得点, 要介護者における認知症の周辺症状の有無、相談者の有無を用い、multiple logistic regression analysisを行ったところ、これらの要因全てが不適切処遇のリスクファクターであると見做されることが明らかになった。今後は縦断的な解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に記載した事項を順調に了することができているため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度マッチングさせた縦断データにおいて「T1時に不適切処遇を行っていなかった介護者のうち、T2時に不適切処遇を行うようになった介護者」と「T1時に不適切処遇を行っていなかった介護者のうち、T2時にも不適切処遇を行っていなかった介護者を同定し、発生率を算出する。次にA群とB群の特性を比較し、交絡要因を正すべくロジスティック回帰分析を行い、在宅介護継続者における不適切処遇の発生に係るリスクファクターを明らかにする。また「T1時に不適切処遇を行っていた介護者のうち、T2時に不適切処遇を行っていなかった介護者」と「T1時に時に不適切処遇を行っていた介護者のうち、T2時にも不適切処遇を行っていた介護者」を同定し、不適切処遇の中止率を算出する。さらに両群間の特性を比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:本年度は、当初の見込額よりも、過小額で、研究を遂行することができたため。 使用計画:次年度、不適切処遇の縦断研究に関する文献検索やデータ精査等に人員を要するため、人件費等で使用する予定である。
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