研究課題/領域番号 |
18K07586
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 文晃 東北大学, 大学病院, 講師 (10535157)
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研究分担者 |
麦倉 俊司 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (20375017)
松本 和紀 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (40301056)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | MRS / グルタミン酸 / 統合失調症 / 海馬 / トラウマ |
研究実績の概要 |
本研究では、統合失調症の発症過程における「感情経路仮説」に基づき、脳の部位(海馬)、神経機能(グルタミン酸)、リスク要因(心的トラウマ)、病期(リスク状態と顕在発症後)の関連を調べることで、統合失調症の病態や臨床に役立つ指標を示すことを目的としている。しかし、研究体制の変化に伴い、当初計画していたMRSを用いた縦断研究の実施は困難となっており、研究計画の再検討が必要となっていた。 前年度に引き続き、SPM、FSL、FreeSurferといったソフトウェアによるMRI構造画像データの解析に向けて、必要なソフトウェアの準備や情報収集を行った。 習得した脳画像解析法を用いて、研究グループが過去に取得した早期精神病の脳画像データや臨床データをもとに、脳構造解析を行った。 具体的には、早期精神症における幻覚に着目し、幻覚に関連する脳構造(灰白質体積、白質体積、白質微細構造)の異常を調べた。研究成果は第115回日本精神神経学会学術集会、第42回日本神経科学大会・第62回日本神経化学会大会合同大会(NEURO2019)、第23回日本精神保健・予防学会学術集会といった学術集会で発表された。日本精神神経学会でのポスター発表は同学会の優秀発表賞を受賞した。日本精神保健・予防学会では、シンポジウム「日本における神経画像研究」において、幻覚の神経画像研究について発表し、他の研究者と情報や意見の交換を行った。 現在、研究成果をもとに、国際誌に論文を投稿する準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究体制の変化、研究協力者の異動が重なり、MRSをはじめとした各種検査、モニタリング・監査の実施は難しく、研究参加者となりうる外来患者のリクルートも想定通りにはいかず、当初予定していた縦断研究を実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していたMRSを用いた縦断研究の実施は今後も困難であると考えられ、研究計画を再検討する必要がある。 今後は、当該研究課題の計画段階において準備・習得した脳画像解析技術を用いて、統合失調症の発症過程に関わる脳構造の変化を調べることを予定している。具体的には、灰白質体積・白質体積や白質微細構造の解析を行い、成果を論文化し発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加予定であった学会の延期等により、当初の想定よりも学会への参加が少なかった。また、研究参加者やデータ整理担当者への謝金の支出がなかった。必要とされた画像解析ソフトウェア(SPM、FSL)が無償で利用可能であり、解析ソフトに要する物品費も少なかった。 次年度使用額は、学会への参加や論文投稿、データ管理・解析に必要な物品、ソフトウェアや参考文献の購入、データ整理担当者が必要となった場合の謝金に使用する予定である。
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